改正 債権譲渡

第四節 債権の譲渡
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。
(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託)
第四百六十六条の二 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。
2 前項の規定により供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。
3 第一項の規定により供託をした金銭は、譲受人に限り、還付を請求することができる。
第四百六十六条の三 前条第一項に規定する場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人(同項の債権の全額を譲り受けた者であって、その債権の譲渡を債務者その他の第三者に対抗することができるものに限る。)は、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができる。この場合においては、同条第二項及び第三項の規定を準用する。
(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)
第四百六十六条の四 第四百六十六条第三項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。

※要するに債務者は差押債権者に対して支払いを拒否できない

2 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。
(預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力)
第四百六十六条の五 預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。
2 前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。
(将来債権の譲渡性)
第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。
3 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。
(債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
(債権の譲渡における債務者の抗弁)
第四百六十八条 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2 第四百六十六条第四項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
(債権の譲渡における相殺権)
第四百六十九条 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
3 第四百六十六条第四項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。

譲渡制限があっても譲渡可能

466①②譲渡禁止特約があっても譲渡は可能 ※注466の5 預金債権
ということは債務者は譲受人に弁済するのが原則となる。が、

譲受人が悪意・重過失の場合

466③
譲渡制限を知っているor重過失により知らない譲受人、第三者に対しては債務者は債務の履行を拒否できてさらに譲渡人に対して弁済などして債務が消滅した場合などはそれを対抗することができる。が、

譲受人から債務者への履行催告

466④ ③項の場合に債務者が債務の履行をしないとき、
第三者が債務者に対して譲渡人へ履行を催告しても履行しなければ466③を適用しない→自分へ履行しろと言える

つまり譲渡禁止特約があり、仮に第三者が悪意だとしても譲渡人に履行しないときは結果的には譲渡が有効に成立していることになる。

譲渡と差押

譲渡人の債権者ではなく譲渡していない債権者の債権者

466の4①
譲渡人の債権者の差押譲渡していない債権者の債権者の差押え
拒めず
要は差押有効

譲受人の債権者

466の②
譲受人の債権者の差押
譲受人が悪・重過失 履行拒絶可能
※善・軽過失だと拒めず
要は原則有効で譲受人が悪意・重過失だと差押を拒絶できる

預金債権は特別

466の5①
預金債権は悪・重過失の譲受人・第三者には譲渡制限を対抗できる。←譲渡禁止が有効であって履行を拒める
基本的に債権は譲渡禁止があっても譲渡できる466①②。が、466③で同じように悪・重過失の譲受人・第三者には履行を拒めるとあるものの、
あくまで拒めるのであって対抗できるとはしておらず、466④により結果的に譲渡が有効になるように読める規定もある。
預金債権には466④のような規定がない。

とは言え、預金債権とは要するに銀行の預金であり、債務者は銀行ということになる。
通常預金は譲渡制限約款があるのでほぼ譲受人は悪意・もしくは重過失とされるだろう。

466の5②
いずれにせよ差押可能

将来債権

466の6
将来債権も譲渡可能
対抗要件具備時までに譲渡制限がされた場合は譲受人第三者はそれを知っているものとみなす。

異議をとどめない承諾廃止

468
①対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由を譲受人に対抗できる

譲受人が悪・重過失の場合の特則

②項がややこしすぎていやがらせかと思う。条文だけ読んで意味がよく通じないようなつくりはさすがに避けるべきだろう。
これは解釈の幅を持たせるとかと意味合いが違う。
やはり改正点はhttp://blog.livedoor.jp/kosekeito/archives/minpou468jou.html

例えば、譲渡制限の意思表示がされた債権が譲渡されて、譲渡人が債務者に債権譲渡通知をすると、本来ならばその時(=対抗要件具備時)が抗弁権切断の基準時です。

しかし、譲受人等が悪意又は善意有重過失の場合、債権譲渡の通知があっても、まだ債務者の抗弁権は奪われません。その間に、例えば債権者に弁済をした場合、債務者は譲受人等に弁済の抗弁をもって対抗できます。

その後、譲受人等が催告をしてから相当の期間が経過した時に、はじめて、債務者の抗弁権が失われるわけです。


なるほど本来は対抗要件具備時までに生じた事由が対抗できるが、
譲受人等が悪・重過失の場合は、譲受人等が催告をして相当期間が経過するまでに生じた事由が対抗できる。

相殺ができる場合

469 債務者→譲受人

原則 対抗要件具備時前に取得した債権

※対抗要件具備時後に取得した債権であっても、対抗要件具備時前の原因に基づく債権と譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権で、かつ対抗要件具備時後に他人から譲り受けていなければ相殺を対抗できる

次の場合相殺可 履行期の前後不問
対抗要件具備時より前に取得した債権

対抗要件具備時より前の原因に基づく債権
譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権

※対抗要件具備時より後に他人から譲り受けた債権は除く

469③
この条文もややこしいので
http://blog.livedoor.jp/kosekeito/archives/minpou469jou.html

譲渡制限の意思表示について悪意又は善意有重過失の譲受人等との関係では、債務者は、「相当の期間を経過した時」までに取得した譲渡人に対する債権を自働債権とする相殺によって、譲受人に対抗できます。

譲受人から供託の請求を受けた時までに取得した譲渡人に対する債権を自働債権とする相殺によって、債務者は、譲受人に対抗できます。

要するに466④に該当する場合に469①②の相殺をなす場合に①②の対抗要件具備時とあるのを466④の履行を催告して相当期間経過時と読み替える
466の3に該当する場合に469①②の相殺をなす場合に①②の対抗要件具備時とあるのは466の3の供託の請求を受けた時と読み替える

債務者その他の第三者とは

467① 債務者に対する対抗要件
467② 第三者対抗要件
と言われるが条文をみると
①債務者その他の第三者
②債務者以外の第三者
と規定されている。は?一般普通人であれば同じ第三者が使われているので同じ意味に捉えてしまうのではないか?

【民法467条】債務者「その他の」第三者と、債務者「以外の」第三者

1項の「債務者その他の第三者」とは、債務者や債務者の包括承継人などのことをいいます。譲渡の当事者である債権者、その譲受人以外の者という意味で、債務者も第三者であることを前提にしています(三人称としての債務者)。1項は債務者に対する対抗要件を定めたものです。

要するに①の第三者は債務者の承継人などを言うようである。「譲渡の当事者である債権者、その譲受人以外の者」と理解すると②と重複してしまうからそういう理解をすると混乱してしまう。これも条文を改正したほうがいいだろう。

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