国家賠償と公務員個人の民法上の不法行為責任

公務員が職務を行う際に故意や過失で違法に何らかの損害を発生させた場合に国や自治体が賠償責任を負う場合は公務員個人に対する民事上の損害賠償責任は否定される。
仮に国家賠償請求ではなく、公務員個人に対して民事上の不法行為責任を訴えてもその訴訟の過程で国や自治体などに責任があると認定されれば請求は棄却されてしまう。

県立高校剣道部における熱中症事故について学校と病院の過失を認めた事案
被告Y1及び被告Y2に対する損害賠償請求権の成否について
原告らは、

「国又は公共団体が国家賠償責任を負う場合であっても、公務員個人に重過失が認められる場合は、公務員個人も損害賠償責任を負う」

と主張しました。

しかし、裁判所は

「公務員関係については、国又は公共団体が国家賠償責任を負う場合には、公務員個人は民法上の不法行為責任を負わないと解すべきである(最高裁昭和30年判決参照)。

本件においては、前記のとおり、被告大分県が国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うから、被告Y1及び被告Y2は、原告らに対する不法行為責任を負わない。」

として、原告らの被告Y1及び被告Y2に対する請求を棄却しました。

裁判所が公務員である教員個人の損害賠償責任を認めないのはなぜか

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