合憲限定解釈 H13第6問 違憲審査基準一覧

〔 № 6 〕 次の1から5までの記述のうち,憲法適合性を判断する際の法令解釈の方法が他と異なるもの
はどれか。
1.条例は,「公の秩序をみだすおそれがある場合」を市民会館の使用を許可してはならない事由として規
定しているが,広義の表現を採っているとはいえ,市民会館における集会の自由を保障することの重要性
よりも,集会が開かれることによって,人の生命,身体等が侵害され,公共の安全が損なわれる危険を回
避し,防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきである。
2.条例の「交通秩序を維持すること」という規定は,道路における集団行進等に不可避的に随伴するよう
な交通秩序の侵害を禁止しているのではなく,集団行進等が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合にこ
れに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた,殊更な阻害をもたらすような行為を避止すべきことを命じて
いるものと解すべきである。
3.法律にいう「みだりに」とは,他人の家屋その他の工作物にはり札をすることについて社会通念上正当
な理由があると認められない場合をいうものと解するのが相当であって,その文言があいまいであると
か,犯罪の構成要件が明確でないとは認められない。
4.条例にいう「淫行」とは,広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘
惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交等のほか,
青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交等
をいうものと解すべきである。
5.法律にいう「風俗を害すべき書籍,図画」を合理的に解釈すれば,「風俗」とは専ら性的風俗を意味
し,輸入禁止の対象とされるのはわいせつな書籍,図画等に限られるものということができる。このよう
に解釈すれば,憲法上保護に値する表現行為をしようとする者を萎縮させ,表現の自由を不当に制限する
結果を招来するおそれはない。

この問題正答率は66.9%。
ちなみに間違えた(笑)
1対4にわければよいと解説には書いてある。他の方法と違う方法を選べとなっているからである。
この点問題形式によっては3つにわかれていたりする場合もあるので要注意である。
そして、肢3が合憲限定解釈でないことははっきりしているとある。が、私にははっきり分からなかったのでお手上げである。

そもそも、憲法判断の方法や憲法判断回避の準則とか、合憲限定解釈などがよく分かっていない。
合憲限定解釈がざっくり分かっていても、それを具体的事例に当てはめて解釈できない。

さて、合憲限定解釈とそれ以外を選び出すものだということにはすぐに気づき、結果肢4を選び出したわけです。
結論から言えばこの問題は日本語の問題になるわけで、ではなぜ4を選んだのか(笑)
もはやこうなってくると知識とか論理とかの話ではない。

追記

さて、約10か月たち、年も押し迫った年末に再度上記問題を解いてみたところ、秒殺で正答するわけだが、そもそもなんで間違ったのか正答したのか分かっていない。。。
ということで改めて合憲性の判断基準などをおさらいしようとしたところ、本当にうろ覚えだと言うことに気づく。

違憲審査基準一覧

https://www.lec-jp.com/shihou/upper/kouza/pdf/yajima/youtube_DXlT4iBkwn4.pdf
まず,問題になっている法令や処分が,どのような権利を,どのように制約しているのかを確定することが必要である。次に,制約されている権利は憲法上保障されているのか否かを,確定(以上は H22 司法論文の採点実感)
比例原則 規制により得られる利益と失われる利益の均衡がとれているかを審査する
利益衡量の基準(比較衡量論)制約される自由の内容・性質,自由に対する制約の必要性の程度,自由に対する制約の態様などを総合考慮して,制約の必要性と合理性が認められるかを審査する※比較の基準が必ずしも明確でなく,特に個人の利益と国民全体の利益(例:行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼)とを比較衡量すると,全体の利益が優先されがちで,個人の利益が保護されにくいという点に問題がある
目的手段審査
①精神的自由などの重要な人権を制約する法令の違憲審査をするときは厳格審査基準
(1)立法目的(規制目的)が必要不可欠な利益(やむにやまれぬ利益)を確保するためのものといえるか,(2)目的達成手段として是非とも必要最小限度のものといえるかを厳格に審査する。
②経済的自由を人の生命や健康に対する危険を防止するという消極目的のために制約する法令の違憲審査をするときは実質的関連性の基準(中間審査基準といわれることもある)
(1)立法目的(規制目的)が重要なものといえるか,(2)目的と手段との間に実質的関連性があるかを具体的に審査する。
③経済的自由を経済的弱者の保護や経済の調和のとれた発展を実現するという積極目的のために制約する法令の違憲審査をするときは合理的関連性の基準
(1)立法目的(規制目的)が正当なものといえるか,(2)目的と手段との間に合理的関
連性があるか
明白かつ現在の危険の基準
LRAの基準
厳格な合理性の基準
明白性の原則

中間審査基準の目的と合理性の基準の目的の違い

ここで上記PDFで気になったのが、H20司法論文採点実感からの抜粋

中間審査基準における目的審査で「正当な目的」とするのは誤りである。中間審査基準では,「重要な目的」であることが求められる。合理性の基準で求められる「正当な目的」の意味・内容を正確に理解してほしい。

実質的な関連性とはなんぞや、合理的関連性との違いは?という点についてばかりが解説されているが、目的の違いについてはネットで検索しても見つけることができない。
個人的に参考になったのが猿払事件です。受験生なら誰でも知っている事件ですが、勿論分かっているつもりが分かっていませんでした。この判決③の基準ですよね。だから批判されているらしい(笑)
そこで、目的の正当性と重要性の違いがなんとなく分かってきました。正当性という言葉だけ聞くと素敵ですが、実際は規制しようとしている意図が正しい目的であればいいわけで、それが特に必要でなくてもいいというふうになりかねません。だから経済的自由に使われるわけですよね。要するに重要でなくても構わんと。

【図解あり】猿払事件をわかりやすく解説(猿払基準とは)
正当な目的=政府の権限内であれば合憲

こういうのは字面ではあまり理解できず、体感で理解しないと覚えられないというか実戦ではアウトプットできない。いや、法律全般そういうことなんだと最近思います。学者先生が使いそうな難しい言葉を並べ立てられた本を読んでも、理解したようで理解していなかった、そういうことなんでしょうね。つまり全部自分流に翻訳しないといけないようです(笑)

適用違憲

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/17-4/003ichikawa.pdf

①「法令の合憲限定解釈が不可能である場合……違憲的適用の場合をも含むような広い解釈に基づいて法令を当該事件に適用するのは違憲である,という趣旨の判決」,②「法令の合憲限定解釈が可能であるにもかかわらず,法令の執行者が合憲的適用の場合に限定する解釈を行わず,違憲的に適用した,その適用行為は違憲である,という趣旨の判決」,③「法令そのものは合憲でも,その執行者が人権を侵害するような形で解釈適用した場合に,その解釈適用行為が違憲である,という趣旨の判決」,の3類型がある これは芦部説である。

合憲限定解釈が不可能だから適用違憲にする、などという発想は違憲判決をできるだけ出したくない裁判官のものだろう。
法令そのものを違憲にする場合と法令は違憲ではないが違憲的な解釈運用を行った場合の適用違憲の区別の問題は実際は分かりやすい。法令違憲と適用違憲の区別をしたからと言って、必ず違憲になるものでもなく、適用違憲だとしてではその審査基準はどうなるのかというふうになるだけであろう。
平成22年新司法試験の採点実感等に関する意見(憲法)
生活保護法自体が違憲ではなく、その運用(住所に関して)が問題となっているが、これを法令違憲だとして論ずる受験生はまずいないはずで、適用違憲だと誰もが思うはずである。
このときにではその運用違憲かどうかをどのような基準で審査するかという話になる。と思ったが採点実感によれば生活保護法そのものの法令違憲性を検討したものが目立ったとあったのでそうでもないようである。

〇問題になっている法令や処分が,どのような権利を,どのように制約しているのかを確定すること
適用違憲の場合は当該処分がどのような権利を制約侵害しているのか、となる。
次に,制約されている権利は憲法上保障されているのか否かを,確定
生活保護の場合は生存権として保障されている

そして、審査基準となるが、いくつかある審査基準からなぜそれを選ぶのか。
そしてその審査基準で事案に即した個別具体的な検討をする必要がある。

従って、ああ、この問題は適用違憲だな、この場合は第3類型だな、などとその定義を持ち出したところで何の意味もないだろう(多分)。

問題となっている処分(解釈運用)を当該法律の保障の目的とする人権の観点から検討する必要がある。

法令違憲

立法事実 「立法事実」を考えるーその法律はなぜ必要なのか?
「立法事実」とは、立法的判断の基礎となっている事実であり、「法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的もしくは科学的事実」(芦部信喜、判例時報932号12頁)といわれている。簡単に言えば、どうしてその法律が必要であるのかということを支えている事実ということになろうか。

法令違憲を論ずる際は立法事実に照らして論ずる平成23年採点実感

立法事実とは

立法事実の定義を見ても結局説明がなければなんとでも言えるような代物である。説明に対する説明が必要という。
多分こういった定義を字面だけ書くような行為が試験委員は嫌いなんだろうと思う。要するに定義は書いているけど本当はお前ら分かってないんじゃね?という具合である。勿論私にはまったく分からないからググった方が早い。
http://www.rilg.or.jp/htdocs/main/seisaku/%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%85%A5%E9%96%80/40_103-109_%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%85%A5%E9%96%80_40.pdf
上記リンク先の記事によれば、そもそも立法事実の概念は憲法訴訟ではなく証拠法則との関連だそうである。
立法事実は司法事実ではないので当事者の主張を待たずに認定できるものらしい。
そして、結局リンク先も芦部先生の定義が載っているという(笑)とは言え、追加の説明がある。
「法律の立法目的および立法目的を達成する手段(規制手段)の合理性を裏付け支える社会的、経済的、文化的な一般事実」とある。
さらに、「憲法訴訟において立法事実のもつもっとも重要な面は、この立法目的達成手段の合理性に関するものだと言っても過言ではない」としている。

さて、そもそも憲法訴訟を考えるとき、何らかの法令、あるいは処分について憲法に違反していると訴えるわけだが、違反しているとは具体的にどんな状態なのか?まさにそれが憲法訴訟なわけだが、憲法自体にはこういう法律はダメだよ、と明確に規定されてはいない。そもそも人権の場合はほぼ禁止ではなく保障されているから、保障されている人権を制約する法律があったとして訴えることになるだろう。
すると、概ね法律なんて規制ばかりなので、ある人権が制約される法律はすべて憲法違反になりかねない。
つまり違憲審査基準などと言っているが、実質のところ合憲性推定ではないが合憲にするための方便とも言えるだろう。
そういう意味では、この立法事実論というのは確かに重要であろう。
そもそもこの立法事実は当該法律がつくられた理由を合理的に説明しようとするものとも言えることから、この立法事実ならこの法律は問題ないとなるのが言わば当然とも言える。
とは言え、その立法事実からすると、この法律は明確ではないとか、まったく趣旨が違ってくるとか、規制手段が強すぎるとか、色々と問題点があぶり出される事もある。

立法事実と憲法との関連性

しかし、そうなってくると憲法とこの立法事実との関係性はどうなるか。
そこで各人権の性質に応じて違憲審査基準の違いというものがでてくるのだろう。
平成23年の採点実感で「処分違憲の審査で,法律適用の合法性,妥当性のみを論じる答案が今年も多かった。憲法との関係を論じないと,合憲性審査を行ったことにならない」とあるが、違憲審査基準ばかりに目がとらわれて、憲法が置いてけぼりになりがちである。
「最初にこの状況で適用されるべき違憲審査基準は何かを問い,この場合は厳格な(あるいは緩やかな)基準でいく,と判断すると,後は「当てはめ」と称して,ほとんど機械的に結論を導く答案が非常に目に付く」
まさにおっしゃる通りで、こういう思考だと複雑な事例問題には対応できない事が多い。
これは表現の自由だから厳格審査基準で、これは経済的自由だから合理性の基準だ、などとするのは間違いのもとだろう。いや、それである程度対応できてしまうのがむしろ問題なのかもしれない。
まず、その問題とされている法律が一体どういうものなのか、何を制約しているのか、そう言う事をきちんと把握する必要があり、そうすると結局立法事実に行きつくということなのだろう。
その上で、この場合表現の自由、しかも内容規制だから、或いは営業の自由の規制だから、などと審査基準を決めていくという方法をとったほうが話が早い。
立法事実が明確になれば、当該法律の問題点もあぶりだされてくるはずである(多分)。

憲法訴訟の処理の仕方

問題になっている法律が何を規制、制約しているのか。それが憲法上保障されているか確定する。
このとき、当該法律が制定された社会的背景、目的、効果など、立法事実を確認する。
そしてその規制手段が合理性を有しているかを確認する。
その上で憲法上の人権の性質に応じて審査基準を使い分けて当てはめる。

文面審査と立法事実

ここで、見落としがちなのは文面審査である。文面審査は立法事実を吟味する必要はなく、文字通り文面のみで審査するものである。逆に言えば文面から違憲だと分かるからそれ以上やる必要はないということかもしれないが。
次にみるように表現の自由ばかりである。

検閲

明確性の原則

規制立法が漠然不明確だと表現の自由に対する萎縮効果をもたらす。
明確と言えるかは通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断ができる基準が読み取れるかどうか。

過度に広範ゆえに無効

規制の範囲が過度に広範な場合は明確性の原則同様、表現の自由に対する萎縮効果をもたらす

内容審査

立法事実に照らして憲法適合性を審査する。これには大きく分けて2つある。

比較衡量

目的手段審査

厳格審査基準

精神的自由

実質的関連性(中間審査)の基準

経済的自由を人の生命健康に対する害を防止するために制約(消極目的)

合理的関連性の基準

経済的自由を経済弱者の保護や経済の調和のとれた発展のために制約(積極目的)

表現の自由(精神的自由)に対する審査基準

これは表現の自由であれば必ずこの審査基準を用いるという話ではなく、表現の自由などの精神的自由に対する規制立法に対する基準を別個独立の基準で行うものがあるという意味である。

明白かつ現在の基準

LRAの基準

経済的自由に対する審査基準

規制目的二分論※規制目的に応じて目的手段審査を使い分ける

明白の原則

合理的関連性と実質的に同じ

厳格な合理性の基準

実質的関連性(中間審査基準)と実質的に同じ

生存権に対する審査基準

判例は立法裁量を広く認め、明白の原則に近い。

違憲審査基準とはそもそも何なのか

さて、違憲審査基準を概観してみると、では、例えば9条が問題にされたときは一体どのような審査基準になるのだろうか。
過去の判例をみると、何らかの審査基準があるようにはみえない。
結局経済的自由だからこの基準とか、そんなものがあるわけではない。

憲法訴訟において、いわゆる違憲審査基準が問題になるのは基本的には法令そのものが問題になっているときである。
行政あるいは私人間での何らかの処分で憲法違反が問題になるときは違憲審査基準を使うわけではない。

また、試験対策として考えた時は短答においては基本的そして重要な各判例を当然理解して記憶しておかなければならない。
論文においては必ずしもそれら全てが必要なわけではなく、処理の仕方が重要になってくる。

立法事実と判例の処理の仕方を概観してみる

百選第五版30尊属殺重罰規定判決
まず憲法上の該当する条文の趣旨を述べる。
そして、問題となっている法律の立法目的(立法事実)を述べる。
次に当該立法を検討する。
そうすると、立法目的自体は合理的だとしながら、加重の限度が極端で、立法目的達成の手段として著しく均衡を欠くと言う。
これはまさに立法事実からの目的手段審査である。厳格審査だとか中間審査だとかは分からないが、そんなものなくても良さそうだ。そもそも、平等権の侵害の問題だとすると精神的自由に入るのかイマイチ良く分からない。
また、平等権侵害は尊属をそれ以外と差別しているわけではなく、尊属と普通殺人の法定刑に差別的取り扱いが生じているという意味である。
31嫡出性の有無による法定相続分差別
法律婚の尊重あたりが立法事実にあたり嫡出子の2分の1が規制手段とでも言えるだろうか。
立法理由との関連において著しく不合理であるとは言えないとの理由で合憲になっているが、こういう当てはめを論文試験でやってしまうと採点実感でめちゃくちゃ怒られそうである(笑)
もっとも判例変更され違憲になった事はご存知の通り。https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/520/083520_hanrei.pdf
まず、注意しておきたいのは前記判例もそうだが立法府の裁量というワードを使っている点であり、相続制度については裁量が認められるのが前提のようだ。
そして、この判例はかなり長い事14条1項に違反する理由を述べているが、端的に言えば時代の流れ、世間の風潮程度のものであって、もはや法的な理屈ではないと言っても過言ではない。
とは言え、立法事実論的に言えば、900条4号の立法事実がなくなっていると言ってもいいかもしれない。
従って法令自体が違憲無効とされている。尊属殺違憲判断は法令そのものが違憲ではなく、罰則が重すぎるだけなのでこういう場合は罰則を軽くしてお茶を濁すことができる。

32女性の再婚禁止期間についても今や違憲判決がでている
さすがに手持ちの第五版は古すぎるようだ。こんなものを使っているから合格できないんだろう(と、教材のせいにしてみる)。
しかし、無駄とも言えない。この判例は立法不作為の国賠訴訟である。
そして、ヤフーニュースあたりでちょっと話題になった判決文のコピペが登場する(笑)立法行為が国賠上違法となる基準である。
憲法上の問題としては733条の立法趣旨が14条1項に違反するかどうかという観点からの検討である。
ここでは立法事実を検討した上で当該法令が憲法上保障されている権利に対して違反しているかどうかという体裁をとっておらず、立法事実そのものが違反していないかどうかで判断しているようだ。そもそも、直接違憲を訴えたわけではないので純粋な違憲審査ではない。

短答過去問

職業の許可制

H29 〔第8問〕(配点:2)
憲法第22条第1項の解釈に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣
旨に照らして,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8
までの中から選びなさい。(解答欄は,[№19])
ア.農業災害補償法が一定の稲作農業者を農業共済組合に当然に加入させる仕組みを採用したこ
との合憲性は,当該仕組みが国民の主食である米の生産の確保と稲作を行う自作農の経営の保
護を目的とすることから,必要最小限度の規制であるか否かによって判断される。
イ.憲法第22条第1項は職業選択の自由を保障しているが,いわゆる営業の自由は,財産権の
行使という側面を併せ有することから,同項及び第29条第1項の規定によって根拠付けられ
る。
ウ.職業の許可制は,狭義の職業の選択の自由そのものに制約を課す強力な制限であるため,社
会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置であっても,より緩やかな規制によっ
てはその目的を十分に達することができない場合でなければ,合憲性を肯定し得ない。
1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

正解 8
ウ.職業の許可制は,
「狭義の職業の選択の自由そのものに制約を課す強力な制限である」ため, 〇
「社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置」であっても,
「より緩やかな規制によってはその目的を十分に達することができない場合でなければ」,×
合憲性を肯定し得ない。

肢ウは社会政策、経済政策の規制立法の合憲性判定基準について言っている。
より緩やかな規制によって目的に達する事ができない場合に当該規制立法が合憲とされるのは消極的、警察的規制の場合である。
薬局距離制限事件の最高裁判決(昭和50年4月30日)について 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です