短答落ちの論理 異議申し立て編

※以前書いていた記事を見て愕然とする。何が言いたいのかさっぱり分からない(笑)
ということで自戒をこめてそのまま残しておこう。
証拠調べの異議申し立てについては証拠調べに関しての異議 まとめ

異議は法令違反のみ
証拠調べ(指揮など)については相当でないという理由も可※証拠決定は法令違反のみ
これだけでアとエが×でオが〇ということが分かるので4と5に絞られる
ウは知っておかなければならない基本事項である

令和3年の予備試験短答の刑事訴訟法の異議申し立てに関する問題

さて、短答の問題をみてみよう。

〔第25問〕(配点:2)
異議申立てに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5ま
でのうちどれか。(解答欄は,[№35])
ア.検察官,被告人又は弁護人は,裁判所による証拠調べ請求を却下した決定に対し,相当でな
いことを理由として適法に異議を申し立てることができる。
イ.合議体の裁判長は,証人尋問において,検察官の尋問に対する弁護人の異議申立てに対して
判断をするに当たり,陪席裁判官との合議を経る必要がある。
ウ.証人尋問における異議の申立てについては,個々の行為,処分又は決定ごとに,直ちにしな
ければならないが,その理由を示す必要はない。
エ.検察官,被告人又は弁護人は,裁判長の訴訟指揮に基づく処分に対し,相当でないことを理
由として適法に異議を申し立てることができる。
オ.弁護人が行った証拠調べに関する異議の申立てについて,裁判所が決定で棄却したのに対し,
弁護人は,その判断に不服があるときでも,その決定で判断された事項については,重ねて異
議を申し立てることはできない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ

正解は4 正しいのはイとオである。

証拠調べ請求の却下に対する異議申し立ての理由はなんでもいいのか

肢のアは「裁判所による証拠調べ請求を却下した決定」に対する異議であるが、
相当でないことを理由として異議の申し立てができるか?という問題である。
前述のように裁判所の証拠調べの決定については法令違反の場合しか異議申し立てできないのでアは×となる。
これを改めて条文からみてみると。

まず、309条1項では

第三百九条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。

とだけ規定されており、これだけでは理由に限定がないのでどんな理由でも異議申し立てできそうである。しかし、刑事訴訟法規則205条1項の

(異議申立の事由)
第二百五条 法第三百九条第一項の異議の申立は、法令の違反があること又は相当でないことを理由としてこれをすることができる。但し、証拠調に関する決定に対しては、相当でないことを理由としてこれをすることはできない。

但し書きで証拠調に関する決定に対しては相当でないことを理由として異議申し立てできないと規定している。

そこで証拠調べに関する決定とは何ぞや、ということになるのだが、決定するのは裁判所なので要するに証拠調べに関して裁判所がなんらかの決定をする場合の異議申し立ては法令違反のみ可能ということになる。
従って、条文だけ読んでも試験には合格できない(当たり前)。
※解決 証拠採否の決定

肢のイは一般的な異議申し立ての知識では対応できない。ということで条文を検索。
よく分からないので保留。

刑事訴訟法は規則まで読まないと意味がないようだ

肢のウについては刑事訴訟規則に規定されている。基本書などを漠然と読んでいるとあまり刑事訴訟規則を意識しないが実は規則で規定されている事がさらっと書かれていたりする。初見で理解し、記憶できる人ならいいが、そうでない場合細かい規定をそもそも記憶してないので、だとすると条文を素読しても条文に書かれていない事が試験に出されていたら結局対応できないということになる。

(異議申立の方式、時期)
第二百五条の二 異議の申立は、個々の行為、処分又は決定ごとに、簡潔にその理由を示して、直ちにしなければならない。http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?vm=01&id=1979

特に証人尋問に限定されていないが、理由を示す必要があるのでウは×となる。そのほか以下の規定がある。

(異議申立が不適法な場合の決定)
第二百五条の四 時機に遅れてされた異議の申立、訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな異議の申立、その他不適法な異議の申立は、決定で却下しなければならない。但し、時機に遅れてされた異議の申立については、その申し立てた事項が重要であつてこれに対する判断を示すことが相当であると認めるときは、時機に遅れたことを理由としてこれを却下してはならない。
(異議申立が理由のない場合の決定)
第二百五条の五 異議の申立を理由がないと認めるときは、決定で棄却しなければならない。
(異議申立が理由のある場合の決定)
第二百五条の六 異議の申立を理由があると認めるときは、異議を申し立てられた行為の中止、撤回、取消又は変更を命ずる等その申立に対応する決定をしなければならない。
2 取り調べた証拠が証拠とすることができないものであることを理由とする異議の申立を理由があると認めるときは、その証拠の全部又は一部を排除する決定をしなければならない。
(重ねて異議を申し立てることの禁止)
第二百六条 異議の申立について決定があつたときは、その決定で判断された事項については、重ねて異議を申し立てることはできない。

肢のエが×だということがこれまでの知識で判断でき、ここでアとウとエが×なのでオを検討するまでもなく、またイの判断を保留したが正解4にたどり着けそうだ。
肢オも規則を一読すれば〇だと判断できる。

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