当事者適格 ⇒ 主観的要件 誰が誰に対して
訴えの利益(狭義) ⇒ 客観的要件 本案判決を受ける正当な利益ないし必要性の有無 具体的な紛争の解決に本案判決が必要かどうか https://www.lec-jp.com/shihou/upper/kouza/pdf/yajima_text/hokyou_p11.pdf
処分が取り消されたら法律上の利益が回復可能かどうか
受刑者に対する懲罰処分の取り消し訴訟では将来行刑上の不利益を受けるおそれがあるとしても執行完了後にその取り消しを求める法律上の利益はないとしている。
これについてはケースブックなどにも言及がないので推測するに、不利益を受けるおそれがあったとしてもそれは懲罰を受けたという間接的なものに過ぎないということなのか。
仮に懲罰を受けなかったとしても必ず仮釈放されるわけではないので仮釈放される法律上の利益があるとはみていないということだろうか。懲罰自体は既に執行されているので取り消しても意味がないのは分かるが。
当該懲罰処分の取り消しによって回復できるような法律上の利益は確かになさそうだ。
民訴では、訴えの利益は、給付、確認および形成の3類型の訴えに共通する事項と、各訴えに特有の事項がある
※訴えの客観的利益は原告が取消訴訟を提起してから判決を得るまでの間において訴えが維持されるべき実益の有無を問うための概念 判例から考える行政救済法 P45
広義の訴えの利益 原告が取消訴訟を行うにあたって法律上の利益を有していること← 原告適格
当事者能力 → 民法で言う権利能力 私法上の権利義務の主体となり得る法律上の地位・能力 成年被後見人が単独でした訴訟行為は取消せるのではなく無効であるhttps://bexa.jp/upload/materials/439_22609b99a17ca77115af6b813f7af137.pdf
訴訟能力 → 民法で言う行為能力 法律行為を単独で確定的に有効に行うことができる能力
原告適格は法律上の利益
訴えの利益は処分が取り消されたら法律上の利益が回復可能
伊達火力発電所訴訟判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/687/016687_hanrei.pdf
法律上の利益とは
行訴法九条にいう「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消等によってこれを回復すべき法律上の利益をもつ者に限られる(最
高裁昭和五三年三月一四日第三小法廷判決・判例時報八八〇号三頁参照)
取消訴訟は個人の権利利益の救済を目的とする主観訴訟であり、法律上の争訟(当事者間の具体的な権利義務又は法律関係の存否に関する紛争)に関する裁判手続の一環をなすものである
そこで、問題となるのは、法律が同じ主観訴訟である民事訴訟と並んで取消訴訟を設けた趣旨である。
※処分性
行訴法が取消訴訟の対象として定める「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(三条二項)とは、行政庁が法の認めた優越的地位に基づき国民に対し具体的事実に関し法的規制をなす行為と解される。かかる行政庁の行為は、公共の福祉の維持、増進のために、法の内容を実現することを目的とするものであって、その行政目的を可及的速かに達成せしめる必要性があり、また正当の権限ある行政庁により、法に準拠してなされるものであって、一応適法性の推定を受けるものであるから、法律は、これに公定力を付与し、仮にそれが違法なものであっても、正当な権限を有する機関により取消されるまでは有効なものとして相手方を拘束するものとし、これによって権利利益を侵害された者の救済については、通常の民事訴訟の方法によることなく、特別の規定によるべきこととしたのである(最高裁昭和三九年一〇月二九日第一小法廷判決・民集一八巻八号一八〇九頁)。
取消訴訟の目的
取消訴訟制度は、行政庁の行為の公定力を排除し、国民の権利利益の救済を図ることを本来の目的ないし主眼とする制度であり、行政の適正な運営を確保することは行政上の不服申立に基づく国民の権利利益の救済を通して達成される間接的な効果にすぎないものと解すべきである(前掲最高裁昭和五三年三月一四日第三小法廷判決)。
かかる行政処分の法律効果として自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがある者は、その回復のため処分の公定力を排除する必要があり、それだからこそ取消訴訟における原告適格を認められるのである
(あ) 控訴人らの立場では、行政処分の違法を争う者がその効力を否定するにつき実質的な利益を持つ限りは、それが法律上の利益であれ事実上の利益であれ、広く訴えの利益の要件を充足すると解することになるが、かかる解釈は行訴法九条が「法律上の利益」に限定している字義に合致しない←法律上の利益とは法的保護に値する説否定
行政処分の客観的違法の追及をも抗告訴訟の目的の一つとしてとらえるものであるが、行訴法一〇条一項の規定と整合性を有しないだけでなく、多かれ少なかれ取消訴訟に客観訴訟の要素を導入しようとするものであるところ、客観訴訟は法律の規定をまって初めて許されるべきであって、法律の規定に基づくことなく取消訴訟を客観訴訟化することは法解釈として妥当性を欠く
※取消訴訟の存在意義
(え) 控訴人らの立場では、行政処分の法的効果として権利利益の侵害が生じるという関係を必要とせず、行政処分の結果によって事実上権利利益の侵害される可能性が存するにすぎない場合でも訴の利益を認めようとするものであるが、かかる権利利益の侵害については行政処分の公定力が及ぼす、その回復のためには取消訴訟で公定力の排除を図る必要はないのであって、直接民事訴訟を提起すれば足りる
※法律上の利益とは 結論
行訴法九条にいう「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消等によってこれを回復すべき法律上の利益を有する者に限られると解すべきであり、法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益と解すべきである。
原告適格の判断ロジック
法律上の利益を有するかについて判断するためには根拠法や関連法令をあたる必要がある。
そのためには原告の侵害された、或いは侵害されるであろう利益が当該法令で保護されていなければならない。
根拠法は取消訴訟の対象になっている法律なので、まずその法律が原告らの利益を保護しているのかどうかを吟味しなければならない。その法律では保護されていなくても関連法令で保護されている場合もある。
そして何が法律上保護されているかについては
「その取消等によってこれを回復すべき法律上の利益を有する者に限られると解すべきであり、法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益と解すべきである」
としているので一般的公益的にとどまらず、個人の権利利益も保護することを目的としていなければならない。
この点、直接法文に明記されていなくてもその法律や関連法令の性質や内容から読み取れればよい。
その保護されている利益が当該原告の利益と言えれば原告適格はある。
原告適格はあっても訴えの利益はない場合もあるが、これはまた別問題である。