「先生がいなかったら今、自分はいない」強制わいせつで逮捕され命を絶った練馬中学教師「本当の顔」
「事件があったのは、午後3時頃、掃除の時間での出来事でした。トイレ掃除をしている男子生徒がふざけ合って股間を触っていた。それを見つけた石井先生が男子生徒を注意しようと、個室のドアに押し付ける体勢で左腕で肩を組んで右手で股間を掴んだ」
報道ではその際、「個室に連れ込みわいせつ行為に及んだ」とされる。
「当時周りに複数の生徒がいましたが、後から聞いても『個室に押し込んではいない』と話していたそうです。目撃者の証言は報道内容とニュアンスがかなり異なっていました」(前出・学校関係者)
報道だけでイメージすると、そっち系の性癖のある男性教諭が男子生徒に強制わいせつか、と思ってしまいますよね。
5/19日の記事
男子生徒の体触る 容疑の中学教諭を逮捕 警視庁
勤務先の中学校に通う生徒の体を触ったとして、警視庁光が丘署は強制わいせつの疑いで、東京都練馬区下石神井、同区立中学校教諭、石井武秀容疑者(37)を逮捕した。調べに対し「スキンシップのためにやった」と容疑を認めているという。逮捕容疑は13日午後3時ごろ、校舎の男子トイレの個室に、男子生徒を連れ込んで体を触るわいせつな行為をしたとしている。生徒にけがはなかった。
光が丘署によると、事件当時、男子生徒が別の生徒数人とトイレでじゃれあっていたところ、石井容疑者が現れ、男子生徒の両肩をつかんで個室へ連れ込んだという。署で余罪を調べている。
司法試験受験生ならここで思うはず。ん?これって強制わいせつなのか?
勿論最近の若い受験生なら悩まないかもしれません。
昭和の頃は強制わいせつで有罪にするには猥褻目的が必要でしたが、最近判例変更されましたよね。ええ、改めて確認してしまいました(笑)
嫌がらせ目的等でも強制わいせつ罪が成立する?
平成29年11月29日
しかし、判例を改めて読むと(初めてとも言う)加害者側の性的意図にスポットを当てていないだけであって、やはり猥褻罪として別個に規定され、かつ法定刑も重いことから、なんでもかんでも猥褻行為になるわけではないことが分かる。当たり前と言えば当たり前。
もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,
行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。
その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。
そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。
そうすると,刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,
社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。
したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。
これを今回の事案に照らしてみると
股間を鷲掴みにする行為は客観的には猥褻な行為と言えそうである。
しかし、目撃者の証言などから考えるとかなり判断が難しい。
強制わいせつで逮捕されるのと暴行で逮捕されるのとではその言葉の持つイメージが全然違う。
そもそも論として逮捕する必要があったのか?裁判所は逮捕状が請求されたらほとんど却下しないことで知られているくらいだから、逮捕の必要性などの検討はあまりなされていないことが伺える。勿論このような意見に対しては官僚的論法で論破されるだろうが。
報道の怖さ
生徒へのわいせつ容疑の教諭が死亡、自殺か
勤務先の中学校に通う男子生徒にわいせつな行為をしたとして、警視庁光が丘署に強制わいせつ容疑で逮捕された練馬区立中学校の男性教諭(37)=練馬区=が釈放後に死亡していたことが23日、署への取材で分かった。自殺とみられるという。光が丘署によると、21日午前5時25分ごろ、練馬区光が丘のマンション敷地内で、男性教諭が血を流して倒れているのを通行人が発見、その場で死亡が確認された。遺書などは見つかっていないという。
男性教諭は、13日に勤務先の校舎男子トイレで男子生徒を個室に連れ込んで体を触るわいせつな行為をしたとして、18日に逮捕された。20日夜に釈放され、光が丘署が在宅での捜査に切り替えていた。
多分罪を認めたので釈放されたと推測されますが、場合によっては強制わいせつでの立件も見送られた可能性もある事案ですよね。
ご冥福をお祈りします。