令和4 民訴33 既判力

〔第33問〕(配点:2)
既判力に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせ
たものは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.34])
ア.XがYに対して取得時効による所有権取得を主張して提起した甲土地の所有権確認を求め
る訴え(前訴)について請求を棄却する判決が確定した後、XがYに対して甲土地の共有持
分権確認を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の相続によ
る共有持分権の取得を理由としてXの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵
触しない。
イ.XがYに対して提起した500万円の貸金の返還を求める訴え(前訴)について、Yによ
る限定承認の抗弁を容れ、Yに対して相続によって得た財産の限度で500万円の支払を命
ずる判決が確定した後、XがYに対して相続財産の範囲にかかわらず前記貸金の返還を求め
る訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の法定単純承認事由に基づ
き、Yに対して相続財産の範囲にかかわらず500万円の支払を命ずることは、前訴の確定
判決の既判力に抵触し、許されない。
ウ.XがYに対して総額1000万円のうち200万円の支払を求めることを明示した上で提
起した貸金の返還を求める訴え(前訴)について弁済を理由として請求を棄却する判決が確
定した後、XがYに対して前記貸金の残額800万円の支払を求める訴え(後訴)を提起し
た場合に、後訴裁判所が、Xの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しな
い。
エ.XがYに対して提起した所有権に基づく甲建物に係るY名義の所有権保存登記抹消登記手
続を求める訴え(前訴)について請求を認容する判決が確定した後、YがXに対して甲建物
の所有権確認を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前の相続
による所有権取得を理由にYの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触し、
許されない。
オ.XのYに対する甲債権に係る500万円の支払請求訴訟(前訴)において、Yが800万
円の乙債権による相殺の抗弁を提出したところ、裁判所は、甲債権、乙債権双方とも全額認
められ、相殺により対当額で消滅したとの理由で、Xの請求を棄却する判決をし、同判決は
確定した。その後、Yが、乙債権のうち前訴で対当額による相殺に供しなかった300万円
の支払を求める訴え(後訴)を提起した場合に、後訴裁判所が、前訴基準時前に乙債権は消
滅していたという理由でYの請求を棄却することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

正解は4

ウに〇をしオを×とし、結果アとウを選択した模様。
なぜオを×としたのか改めて肢を読むと、そもそも何が言いたいのか分からない(笑)

まず、
後訴裁判所が、前訴基準時前に乙債権は消滅していたという理由でYの請求を棄却することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しない
あ、前訴で相殺してるんだからそれを前提として後訴をするのは抵触しないか。。。(笑)
いや、相殺で全額消滅したわけではなく300万残っているのに消滅したと判断しているから間違いだと判断したようだ。
ん?結局どうなるんだ(笑)
北谷馨の質問知恵袋 「民事訴訟法の既判力」に関する質問
要するに300万円については何も判断していないから基準時前にその300万は消滅していたとしても既判力には定食、基、抵触しないということかしら。。

というか肢アを〇にしているのだから話にならない。
前訴基準時前の相続による共有持分権の取得を理由としてXの請求を認容することは、前訴の確定判決の既判力に抵触しないのではなく、抵触するということのようだ。
なぜ抵触しない、としたのか記憶を手繰り寄せると、取得時効による所有権の確認と共有持分権の確認は別個の訴訟物だと考えたようである。

既判力
① 所有権確認請求訴訟において請求棄却の判決が確定したときは、原告が”同訴訟の事実審口頭弁論終結の時点において”目的物の所有権を有していない旨の判断につき既判力が生じるから、原告が”右時点以前に生じた”所有権の一部たる共有持分の取得原因事実を後の訴訟において主張することは、右確定判決の既判力に抵触するものと解される。

この事自体知らない。。。(笑)

既判力に抵触するものしないものの考え方

既判力は判決主文に包含するものにおよび理由にはおよばない
しかし、遮断効が生じて実質的に既判力抵触して後訴で矛盾抵触するような主張できない場合がある

極論すれば理由と矛盾していても判決自体に矛盾していなければ後訴を提起できるが、その後訴の中で矛盾するような主張はできない

H20〔第69問〕(配点:2)
XはYに対して,甲土地の所有権の確認を求める訴えを提起し,その判決が確定したとする(以
下この判決を「前訴判決」という 。次の1から4までの各記述のうち,正しいものを2個選びな 。)
さい (解答欄は 順不同) 。 ,, [№80 [№81] ]
1. 前訴判決がXの請求棄却であったとする。XがYに対して甲土地の所有権の確認を求める後
訴を提起することは,前訴判決の既判力に触れるので却下される。
2. 前訴判決がXの請求棄却であり,その理由がYが甲土地の所有者であるという判断に基づい
ていたとする。YのXに対する甲土地の所有権の確認を求める後訴でXが前訴判決基準時にお
けるYの所有権を争うことは,いわゆる一物一権主義により既判力によって妨げられる。
3. 前訴判決がXの請求認容であったとする。XがYに対して甲土地の所有権の確認を再度求め
る後訴は,前訴判決の既判力に抵触するとの理由で却下されることはない。
4. 前訴判決がXの請求認容であったとする。その後Xから甲土地を借り受けたZが債権者代位
権の行使としてYに対して甲土地の引渡しを求めたときには,Yは前訴判決基準時におけるX
の所有権の存在と矛盾しない攻撃防御方法のみ提出できる。

正解 3.4

1 前訴がXの請求棄却なので改めてXが再度訴訟を提起するのは許されないように感じるのが普通の感覚である。
しかし、訴え自体が不適法になるわけではない。

2 答えは×だが既判力が生じていないわけではない。Xに所有権がない、ということについて既判力が生じている。Yが甲土地の所有者であるという理由には既判力が乗じていない。従って後訴でYの所有権を争うことは許される。

3 解説によれば既判力に矛盾するわけではないので訴え自体は許されるが、訴えの利益を欠くので却下されるという。
しかし、肢1では矛盾抵触するような場合でも訴え自体を不適法として却下するわけではない。従って矛盾しないから訴え自体が許されるものではない。

4 先決問題

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