欠席裁判 取り下げ 陳述擬制 擬制自白

陳述擬制について

原告が出席しない
158条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、
又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、
その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に
記載した事項を陳述したものとみなし、
出頭した相手方に弁論をさせることができる

1回目は原告又は被告が欠席しても答弁書などを提出していたら陳述したものとして扱われる。いわゆる欠席裁判とはならない。
2回目については条文なし。
https://eu-info.jp/CPL/default.html

擬制自白

自白の擬制)
第百五十九条 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2 相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。

第2回目以降の口頭弁論期日に当事者が欠席する場合には陳述擬制は行われず、欠席した当事者は不利な扱いを受ける。つまり、相手方の主張を認めるという扱いを受ける。

https://www.mc-law.jp/kigyohomu/23984/
・出席者の擬制自白159①
・欠席者の擬制自白159③
・裁判上の自白が成立するのは事実に限られる
 主要事実(拘束力あり)
 間接事実
 補助事実

弁論主義から本条の適用があるのは主要事実に限られるが撤回禁止については問題にならない

裁判上の自白

証明不要 主要事実、間接事実、補助事実 権利自白
裁判所拘束 主要事実のみ
撤回禁止 主要事実のみ

161条3項 相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載した事実でなければ、主張することができない。
仮に原告が出廷し、被告欠席で答弁書や準備書面も出していない場合はどうなるのか?

主張できないが証拠調べなどはできる183条。159条3項により自白したものとして扱われる場合がある。

簡易裁判所では永遠に陳述擬制

簡易裁判所では2回目以降も陳述擬制
277条 ずっと書面さえだしておけば陳述擬制される。

当事者双方が欠席した場合 取り下げ擬制

両方欠席すると
263条 当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。
取り下げとみなされるが、期日指定の申し立てをしていれば取り下げとはみなされない。とは言え期日申し立てをしていても2回連続で双方欠席などすれば取り下げとみなされる。

1回目に原告が欠席すると

http://www.shomin-law.com/assari/minjisaibandai1kaikotobenron.html
原告が欠席して被告は出席。通常は陳述擬制。しかし被告が弁論せず退廷すると双方弁論していないことになり、263条が適用される可能性がある。
263条は当事者双方が欠席した場合の条文としてよく紹介されているが注意が必要だ。

訴えの取り下げ 控訴の取り下げ

訴訟の終了

訴えの取り下げ

 
261条
訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
3 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
4 第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
5 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。

判決確定まで取り下げられる。
相手の同意が必要な場合がある。261条2項
期日以外は書面でする。
控訴292条(終局判決まで)、上告313条(控訴の規定準用)でも可能。

訴えを取り下げるとどうなるか
262条 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
2 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。

終局判決後でも確定前であれば取り下げは可能だが、再訴は禁止。
では控訴審で訴えの取り下げをした場合は再訴は禁止されるのか?
控訴審で訴えの取下げ(民訴262条)
判決確定までは取り下げが可能であり、判決が出たあとは再訴が禁止されるのであり、質問の趣旨は控訴審で控訴の取り下げではなく訴え自体を取り下げた場合も再訴が禁止されるかどうかである。
要するに一審で終局判決が出ているが、それがカウントされるかされないか素朴な疑問であるということである。
この点、第一審の本案判決が控訴審で破棄されて差し戻されている場合には本案の終局判決は存在しない状態にあるから再訴禁止効は生じない(最三小判昭38.10.1民集17-9-1128)とされる(民事訴訟講義案246頁)。従って破棄差戻されていない単なる訴えの取り下げであれば原則通り再訴は禁止されると思われる。

※追記
そもそも控訴が取り下げられると、控訴期間が過ぎていれば第一審の判決が確定し、もはや訴えの取り下げはできないことになる。
仮に控訴期間がまだ過ぎていなければ訴えの取り下げが可能ということになる。
実に単純な話であった。。。。

控訴の取り下げ

292条 控訴は、控訴審の終局判決があるまで、取り下げることができる。
2 第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項及び第二百六十三条の規定は、控訴の取下げについて準用する。
準用
261③ 書面
262① 継続していなかった
263 取り下げ擬制

相手方の同意は必要か?不要

令和2〔第44問〕(配点:2)
適法に訴えが取り下げられた場合の効果に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣
旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.51] ,[No.52]順不同)
1.訴訟は,訴えの一部の取下げがあった場合には,その部分についてのみ初めから係属して
いなかったものとみなされる。
2.第一審裁判所は,当事者の申立てにより,訴えの取下げまでに生じた訴訟費用の負担を命
じなければならない。
3.請求を全部認容した第一審判決が控訴裁判所により取り消されて,事件が第一審に差し戻
された場合において,原告が差戻し後の第一審において訴えを取り下げたときは,原告は,
同一の訴えを提起することができない。
4.訴えを却下する判決がされた後に訴えを取り下げた原告は,同一の訴えを提起することが
できない。
5.金銭債務の不存在確認を求める訴訟において請求を棄却する判決がされた後に,原告が訴
えを取り下げた場合であっても,被告は,当該金銭債務の履行を求める訴えを提起すること
ができる。

正解は3と4
肢3は控訴の取り下げとも絡む
判決が確定するまで訴えの取り下げは可能だが、控訴の取り下げは判決が出るまで。
とは言え、控訴期間が過ぎていれば第一審の判決は確定してしまう。しかし、第一審に差し戻されている場合は判決は確定していないので訴えの取り下げは可能。

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