死因贈与には遺言の方式に関する規定は準用されない贈与は契約なので承諾が必要
ホームレスの男性が事故物件で遺書のようなものを見つける。
私を殺した犯人を見つけた人には1000万円をやる。署名に押印まである。
で、冠城君はその文面を見て「惜しいな、日付があれば完璧だったのに。なんの効力もない紙切れだ。」と言い放つ。
さすが元法務省のキャリア官僚(笑)
即座に書面による贈与、だが死因贈与なので遺贈の規定が準用されると分かったということでしょうか。いや、遺言の方式を備えていないと。ええ、私はかなり悩んでいました(笑)
遺贈とはなにかについてまったく分かっていない司法試験崩れ
※追記
さて民法を学んだ方ならお気づきの通り、この遺書のようなものは贈与の意思表示と言ってもいいが、そもそも論として承諾がないため贈与契約は成立していない。
贈与の意思表示をしたものが既に死んでいるからである。もしも、生きていれば話は別だが。
そこでこれは遺言ということになろう。しかし、遺言の方式に沿っていないので無効。。。
ここで、私のような司法試験崩れは文面から言えば死因贈与だと考えがち。更に遺言だとしてもその遺言の中で贈与の意思表示をしているじゃないかと思ってしまいこれは死因贈与だと浅はかにも思ってしまう。
しかし、そこで贈与は契約であり、受贈者の承諾が必要だということがすっぽりと抜け落ちてしまう。
死因贈与があたかも死んだら●●をあげるという一方的意思表示で成立するかのように思ってしまう。これも理由があり、死因贈与は遺贈の規定に従うとされているからである。
従って、この文書は遺贈を記している遺言だとみるべきであり、日付がないため遺言とは認められないということになる。
(死因贈与)
第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
改めて確認すると、「遺贈の規定を準用とは言っても遺言の方式に関する規定を除いて主として効力に関する規定であるとされている」基本法コンメンタール債権各論ⅠP75
またもや勘違いしていたようだ。遺言の方式などが準用されると。。。(笑)
なぜ遺言の方式などが準用されないのかはよく分からないし、実際批判する説もあるようです。
元法務省キャリア官僚の冠城君ですから、そんな事は百も承知かもしれませんね。どうもすいません。そもそも贈与を記した書面とは認められないという意味なのかもしれませんね。
書面による贈与に日付は必要か?
要するに日付けまで記載されていないと贈与する意思表示あるいは贈与契約とはならないということか?
この点どのような書面が贈与の書面となるのか?
「贈与契約が書面に記載されている必要はない。贈与者の出捐の意思が明確にされた書面であればよく、受贈者の表示がなくとも、他の証拠によってこれが明らかになればよい(大判明40.5.6民録13.503)また書面自体に贈与の文字が記載されている必要はないし(大判昭9.2.21法学3.1056)」基本法コンメンタール債権各論ⅠP71
どうやら日付け自体はほぼ関係ないようですね。
受贈者自体も未確定状態でもよさそうで、少なくとも冠城君はその点を問題にはしていませんでした。
確かドラマでは最終的に、冠城君が財団にお話をして(書面には財団が謝礼金を払うと記載されている)手記を100万円で買い取らせたようになっていましたが。
もしかしてだけど本当は1000万貰えるんじゃないの。。。。あ、でも犯人見つけたのは右京さんでした(笑)