金銭債務に関する特則 まとめ

    金銭債務については損害の証明不要
    不可抗力でも免責なし
    損害賠償=遅延賠償=遅延利息
    利息について約定がなくても遅延利息は請求可能 遅延利息は損害賠償だから。
    約定利息がない場合は法定利息が賠償額。約定利息があるが法定利息を超える場合は約定利息が賠償額。

約定利息に対する遅延利息
約定利息がある場合、①1年以上利息を延滞②催告しても③未払い、の場合に元本に組み入れることができる。
約定利息に対する賠償は元本組み入れ時から算出。
元本に対する賠償は期限後自動的に発生。※肢4参照

H12-32
AはBに対し平成10年5月14日、弁済期は平成11年5月14日、利息は弁済期までの1年間で1割の約定で100万円を貸し付けたが、Bは全く返済をせず、平成12年5月14日になって初めて返済をすることになった。

1 Bは元本100万円に対する年1割の利息1年分(10万円)は支払わなければならないが、遅延損害金については合意がないから支払い義務がない。

 
 
 × 遅延損害金は損害賠償のことであるから約定がなくても支払わなければならない

2 Bは元本100万円とこれに対する年1割の利息1年分(10万円)に加えて、元本100万円に対する法定利率年5分の遅延損害金1年分(5万円)を支払わなければならない。

 

 × 遅延損害金は約定利率で計算するので10万円である

3 Bは元本100万円とこれに対する年1割の利息1年分(10万円)に加えて、元本と利息の合計110万円に対する法定利率年5分の遅延損害金1年分(5万5000円)を支払わなけ
  ればならない。

 × 遅延損害金は約定利率の10万円である。また約定利息の10万円に対しても賠償請求できるためには約定利息を元本に組み入れる必要がある。元本に組み入れるには催告
 した上で未払いである事が必要でその上で元本に組み入れなければならない。さらに利息に対する賠償は元本組み入れ時から計算するので、仮にこの時点で元本に組み入れ
 ても利息に対しての賠償額はない。また、約定利率のほうが高いので遅延損害金は約定利率で計算しなければならない。

4 Bは元本100万円とこれに対する年1割の利息1年分(10万円)に加えて、元本100万円に対する約定利率と同率の年1割の遅延損害金1年分(10万円)を支払わなければなら
  ない。

 〇 損害賠償=遅延損害金は期限後から自動的に発生する。法定利率より高い約定利率年1割の1年分が遅延損害金となる。また、解除していなければ約定利息も支払う必
  要がある。※つまり元本に対する遅延賠償と約定利息に対する遅延賠償の発生要件と起算点は違う。

5 Bは元本100万円とこれに対する年1割の利息1年分(10万円)に加えて、元本と利息の合計110万円に対する約定利率と同率の年1割の遅延損害金1年分(11万円)を支払わ
  なければならない。

 × 3に同じ。

(利息の元本への組入れ)
第四百五条 利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。

(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

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