https://www.retio.or.jp/info/pdf/69/69_08.pdf
上記のような事案であれば貸主自体に変動はないため問題はない。
しかし、土地が二重譲渡された場合などで所有権がなくなった貸主に対して賃借権を時効取得したとされた場合などは一体誰に対しての賃借権となるのであろうか。
時効取得に関する背信的悪意者排除の法理について、最近、最高裁が注目すべき判断を下しました。
「甲が時効取得した不動産について、その取得時効完成後に乙が不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において、乙が、不動産の譲渡を受けた時点において、甲が多年にわたり不動産を占有している事実を認識しており、甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは、乙は背信的悪意者に当たるというべきである。
取得時効の成否については、その要件の充足の有無が容易に認識・判断することができないものであることにかんがみると、乙において、甲が取得時効の成立要件を充足していることをすべて具体的に認識していなくても、乙が甲による多年にわたる占有継続の事実を認識していれば、背信的悪意者と認められる場合があるというべきである」(最高裁平成18年1月17日判決)。
https://www.zennichi.or.jp/law_faq/%E9%80%9A%E8%B7%AF%E6%99%82%E5%8A%B9%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%81%AE%E5%AF%BE%E6%8A%97%E8%A6%81%E4%BB%B6/
第二節 取得時効
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
(所有権以外の財産権の取得時効)
第百六十三条 所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
(占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条 第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
第百六十五条 前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。