思想良心の自由

憲法19条は思想及び良心の自由はこれを侵してはならないと定める。明治憲法下では内心の自由そのものが侵害されたため表現の自由などとは別に特に規定されている。
良心の自由とは、信仰の自由に限るとする説や広く内心におけるものの見方や考え方を意味する説など争いがある。
この点の争いは謝罪広告の合憲性などに影響する。
判例は民法723条の名誉の回復に適当な処分として謝罪広告を新聞紙等に掲載すべきことを命ずることは、それが単に事態の真相を告白し謝罪の意思を表明するにとどまるのであれば良心の自由を侵害するものではないとしている。
謝罪が良心に含まれるのであればそれを表明させる行為は19条に抵触する可能性があるが、19条に規定されている侵してはならないという意味は、
一般的に
思想良心の定義はともかく、①内心に留まる限りは絶対に保障される
②思想良心の内容の表明を強制されないことを意味するとされる
①は特定の思想を強要されたり禁止されないことと、ある思想を持っていることを理由に不利な取り扱いを受けないことの両者を含む
謝罪広告事件では謝罪の意思表明が強制されているが、これが合憲だとすると謝罪というのは憲法19条によって保障される思想良心の自由にはあたらないということであろう。
また、三菱樹脂事件は企業は雇用の自由があるから特定の思想信条を有する者の雇用を拒んだとしても当然に違法ではないと判示した。
もっとも憲法の私人間への直接的効力は否定されるが、労働者の思想、信条などを調査し、その申告を求める行為を国家が行えば19条に違反することになろう。

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