追認催告の効果
制限行為能力 確答しない場合 追認したとみなす
無権代理 確答しない場合 追認拒絶
制限行為能力の場合はそもそも本人が行った行為
無権代理の場合は本人があずかり知らない行為 → 確答を義務付ける根拠に乏しい → 原則追認拒絶
20条4項では「取消したものとみなす」とあるが、なぜ追認したものとみなすではなく取消か?
相手方→被保佐人被補助人に対して追認を得るように催告した場合に
追認を得られなかった場合は
取消したものとみなす
↓
※確答を発しないのではなく追認を得たという通知がない場合
通知がない→追認が得られなかった→取消擬制
20①相手方→行為能力となった後の本人 確答ナシ→ 追認
②相手方→制限行為能力者の法定代理人など 確答ナシ→ 追認
④相手方→制限行為能力者に法定代理人に追認を得てこい 確答ナシ追認得られず→ 取消
催告をうける者の権限による違い
①② 被催告者が単独で有効に追認または取消できる
③④ 被催告者が単独では追認取消ができない
確答がない場合なぜ追認と追認拒絶に結論が分かれるのか
「単独で有効に追認取消できるのにしないのは法律関係を現状のままにする意思を有するが、みずからの一存では追認取消ができない者にはこのような意思は認めることができない」基本法コンメンタール民法総則P63のが理由とされる
しかし④では追認を得るように催告されているのでこのロジックはいささか飛躍しているのではないか?確かに形式的には催告を受けている者の追認取消権で区別するのは分かりやすい。
制限行為能力は原則有効
もっとも、無権代理の場合の本人への催告で確答がない場合は追認拒絶であるが、この場合無権代理を原則無効だと考えると現状維持は無効維持なので追認拒絶で整合性がとれる。
しかし、そう考えると制限行為能力者の行為は無効ではなく原則有効なのか?追認をなぜ得る必要があるのか?
追認は事後的な同意であり、取消しうべき行為を取り消さないものと決める意思表示であって取消権の放棄とされる 基本法コンメンタール民法総則P204
保佐人等に追認権が明文で認められていなかった時代では事後の同意も認められないとするのが通説であった。
いずれにしろ、追認ができるということはすなわち当該取消うべき行為も取り消されるまでは一応有効であることを前提としている。
追認することによって初めから完全に有効であったものと確定する。
まとめ
制限行為能力 原則有効 → 催告に無回答→現状維持 ➡ 追認とみなす
※取消権や追認権のない者への催告は追認拒絶とみなす
無権代理 原則無効 → 催告に無回答→現状維持 ➡ 追認拒絶
被成年後見人
未成年者
被保佐人
被補助人
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。