〇当事者能力と当事者適格
当事者能力は民法の権利能力に対応すると言われるが、当事者という概念は各事件ごとに判断する当事者適格もある。
また、当事者能力は当事者となる事が出来る一般的な能力という表現もなされ、個々の事件ごとに判断するものではないとも言われる。
その意味では権利能力に対応するとも言われる。
当事者となることができる、とは言い換えれば判決の名宛人になることができるとも言え、判決の効果を享受することができる者が当事者とも言える。
個々の事件ごとに判断するという点を重視すると、当事者能力は一般的な能力ではないように捉えてしまうが、これは当事者適格の問題である。
〇訴訟能力
訴訟を追行する能力があるかないかという観点からみるとまさに訴訟の一般的な能力のように考えてしまうが、民事訴訟法の考え方は訴訟能力があるという基礎の上に当事者能力があるという構造ではなく、当事者能力の基礎の上に訴訟能力があるという構造で、さらにその上に当事者適格を判断するという構造になっている。
当事者適格
訴訟能力
当事者能力
当事者能力と当事者適格が直接につながっているわけではない
〇民訴では誰でも原告となれる
民事訴訟法は原則として誰でも原告になることができるため、当事者という概念が民法で言えば権利能力にあたるとということだろう。
その意味では、訴訟能力という言葉のイメージに引っ張られると訴訟能力がまるで権利能力のように捉えてしまいがちである。
当事者能力→権利能力
訴訟能力→行為能力
〇当事者能力と当事者適格は並列の関係ではない
当事者という概念を個々の事件ごとに判断する、という点から捉えると当事者能力が行為能力的に捉えがちになってしまうが、当事者能力と当事者適格はまったく別の概念だと考えたほうがいいだろう。
その意味で当事者能力というより原告能力であり、訴訟能力は訴訟行為能力と言った方が覚えやすいと思う。
当事者能力→原告能力
訴訟能力→訴訟行為能力