ニュースで学ぶ盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律

【池袋マンション強盗】“返り討ち”で犯人の1人が死亡  “正当防衛”の範囲は?若狭弁護士「特別な法律がある」
コメントを読んでいるとやはり法律の素人とそうではない人間のロジックというのがはっきり分かる。
まず、条文があるのにそれを吟味しない。自分が考える正当防衛の要件でどうなるのか考える。この場合も条文とか構成要件は自分の考えるものであり、判例が参照されることもない。まるで私の文章みたいだ(笑)

盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律
若狭弁護士が言っているのは盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第一条のことだろう。
この法律によれば一定の条件下での一定の反撃行為が正当防衛になる、ようだ。しかし、判例によればなんでもかんでも防衛行為となるものではなく相当性は必要であるらしい。もっとも一般の正当防衛よりも緩やかに判断される。

この事案のように強盗を殺傷してしまった場合は完全に要件に合致するため、仮に殺す意思があったとしても形式的には防衛行為に該当する。
ここで少し疑問だったのは、あくまで刑法36条にいう防衛行為に該当するだけであって、他の要件は別途吟味されるのではないかと思ったのだが、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律の規定ぶりでは防衛行為にあたるということすなわち罰しないというふうに捉えていいようである。
もっとも判例は少なくとも相当性は別途吟味する必要があると言っているわけだが。
ここで、例えば最初から積極的加害意思があったら急迫性がなくなって正当防衛自体が成立しなくなるから盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第一条も適用されないのではないか?という中途半端に法律を勉強している人間は思ってしまう。
結局盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律はそこらへんをすっとばして強盗とかを相手にしていたら反撃行為は正当防衛とみなしますよ、という趣旨だろう。
勿論、今後新たな判例が現れてやっぱり強盗を反撃した事案でも防衛の意思は吟味します、などとなるかもしれないが、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律は防衛の為ではなく危険を排除するための殺傷行為を罰しないのだからいずれにしろ正当防衛と同列に論ずべきものでもない。

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