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今年の予備試験は結局受験せず。
改めて司法試験についていろいろと考えていました。
司法試験を短期受験で合格した人たちよりも勝っている点は受験回数ですね(笑)
つまり、このことから言えるのは受験についてはむしろ色々と語ることができるのではないか(反面教師として)。
地頭のいい人は自力でなんとかなるでしょうから、ガン無視して(笑)、地頭がよくないと自認している方へ向けて少々語ってみたいと思います。
受験界の常識は疑ってかかれ
受験界には様々な常識めいたことが言われています。過去問をまずやれ、などはその最たるものですが、過去問をやるってどういう意味でしょうか?
具体的な勉強のやり方については何も言及がない。まるで車の運転をする時に、注意して運転しろと言っているようなものでほとんど何の意味もありません。
過去問をやるのはいわば当たり前でしょう?それだけで合格しないのも当たり前。しかし、司法試験を大学在学中に受験期間1年程度で一発合格するような猛者は、基本書を1回通読して、過去問を3回くらい回して、あとは判例百選を読み込んだら受かりました的な人がいたりします。
さて、ここでこの猛者が嘘を言っているとかそういうことではなく、本当だとしてもそれを貴方が実践して受かるかどうかは別問題だということです。
あの人にもできたのだから私にもできると思い、それをやり続けてもなかなか予備試験に受からない・・・そうやって、何年かの貴重な時間が失われるかもしれません。
法科大学院ルートはコスパが悪いわけではない
「法科大学院はコスパが悪い。予備試験合格者の方が就職に有利。」
このロジックは要するに予備試験にすくなくとも3年以内で合格できることを前提にしているわけであり、それができれば誰も苦労はしないという話でもあります。
「予備試験合格者の司法試験合格率は100%近い。それに比べて法科大学院ルートの司法試験合格率は・・・だから予備試験ルートのほうが受かりやすい。。」
こんな事を言う人もいますが論評するまでもなく、それを比べるなら予備試験全受験者の司法試験合格率で比べないと意味がありません。
予備試験を受験して2年あるいは3年で司法試験合格までたどり着ける人の割合は法科大学院ルートと比べると同じくらいかそれより低いかもしれません。
予備試験合格者が年に500人としてその合格者が翌年全員司法試験に合格したとしても予備試験受験者数は1万人を超えているので単純計算で合格率5%です。
特に社会人受験生の方は、仕事を辞めてまで法科大学院にいくリスクは冒せないのでそうなると予備試験ルートがいいと誰しも考えます。
しかしながら、それは仕事を続けながら勉強するということであり、社会人受験生の経験がある方ならわかると思いますが言うほど簡単ではありません。
勿論、中には上場企業のエリートの方が激務をこなしながら合格したなどという話もちらほら聞きますが、改めて言いますがそういう人は元々地頭がいいのです。
そもそもが高学歴だったり、自分にあった勉強のやり方などを既に体得している方なのです。
貴方がそういう方でないなら予備試験を短期で合格できるとは安易に思わないほうがいい。
元々法学部で法律の勉強をしていたとしても司法試験というものは法学部の法律の勉強とは別物だと思ったほうがいい。勿論法律の素養がある程度あるのとないのとでは違いがあるとは思いますが司法試験受験に限って言えば大した違いではない。
いずれにせよ最終的には司法試験を突破するという目標のために、何が最短ルートなのかということを考えたときに、仮に同じ勉強時間が必要だとする仕事を辞めて法科大学院で勉強漬けになったほうがより早く合格できるということになります。同じ5000時間が必要だとすると、1日3時間の勉強時間しかとれない場合と8時間とれる場合を比べれば一目瞭然でしょう。しかし人は思います。俺は3000時間で合格できる、私は土日祝日に 10時間は勉強する、などなど。
もっとも、前述のように仕事を辞めることができないという状況の人もいるのであくまで法科大学院に行くことができる環境の人ということになりますが、そういう環境の人は法科大学院に行くほうがベターということもあります。
これからは在学中でも司法試験を受けることができるようになりますし、予備試験合格という肩書きが欲しければ在学中に予備試験を受けて合格すればよい。
そもそもが、予備試験を短期で合格できるならより一層可能なはずです。
もしも、目論見通り予備試験に短期で合格できなくても法科大学院の保険はありますが、予備試験さえ突破できなければまず予備試験に合格するのにまた1年、合格してまた1年後に司法試験と予備試験に1回落ちると司法試験合格には最低あと2年かかることになります。
法科大学院の学費が高い、などと言う人もいますが、貴方がもし予備試験を短期で合格するような方なら学費免除なども受けることができるかもしれません。
法科大学院在学中は奨学金も受けることができますし、なんならバイトもせずに勉強時間が確保できるでしょう。つまり予備試験に1回落ちるごとに2年司法試験合格が先送りされます。3回落ちるということは受験し始めて司法試験合格まで最短で5年はかかります。
本当に法科大学院ルートはコスパが悪く、予備試験ルートが良いと言えるかどうか今一度真剣に考えたほうがよい。
若い時の1年2年は取り戻せるなどと高を括っていると後で痛い目を見ることになるかもしれません。若い人はまだ潰しがきくでしょう。しかし、年齢が高くなればなるほど残された時間は長くはありません。
司法試験はいくつになっても合格できますが、50代で合格するのと20代で合格するのはまったく違います。30代で遅いと思っているかもしれませんがじゃあ40代と比べるとどうなのか?
自分の現在置かれている状況や年齢、将来のビジョンなどありましょうが、できるだけ最短で合格するに越したことはない。しかし、最短で合格できれば誰も苦労はしない。
最短で合格できなかった時の事も考えて、最短で合格できるようなルートを選択すべきなのです。
追記 予備短答一発合格でも法科大学院を真剣に検討し始めた人の話
ある50代と思われる受験生の方のブログでなぜ法科大学院を選ばなかったのかいくつか理由が書かれてありました。
おおむね似たような事が書いてありましたが、その方は受験1年目で予備短答突破、2年目も短答は突破しています。論文は結果待ちですね。にもかかわらず法科大学院への入学を検討し始めているようです。これはどういうことでしょうか?
まず、法科大学院ルートを選ばなかった理由の一つに
結局予備校などを利用しないと法科大学院の勉強だけでは司法試験合格は無理だろう
というものがあります。しかし、これはすぐに論破されますよね。なぜなら予備校だけで合格できない人が大半だからです。
次に
予備試験合格者の司法試験合格率と法科大学院ルートの合格率を比較すると予備試験経由のほうがいい。だとするなら予備試験を合格する程度の学力をつけるほうが近道
これも既にみたように、予備試験受験者全員との合格率を比較するとどうなんだ?となりますし、予備試験合格程度の学力をつけることが2年程度でできるならそれに越したことはないがそれができるのか?という話になります。
約2年程度の受験勉強で気付かれたのは専門家から指導を受けることによって(1回数万円の個別指導を受けたことがあるそうです)理解がより深まったらしく、だとするなら法科大学院で指導を受けるのもやぶさかではないと。個別指導を何回も受けて数十万払うなら法科大学院に行ったほうがよいのではないかと。。。
この点以前記事にしましたがなぜ何十回も司法試験に受からない人がいるのか?基本書やそれこそ予備校本などでも説明が端折られている場合が多々あり、それに気づけば自分で調べることもできますが、気付かずにそういうもんだと丸暗記してしまうと、大事な部分が抜けて落ちてミスリードする場合が法律の勉強の場合多々あります。
つまり、本には書かれていないような部分を専門家の講義ではこれはこういう事を言っているとか、この言葉は二つの意味があって今回はこっちの意味だとか、注意点や補足説明を話し言葉で説明してくれます。勿論個人差があるでしょう。逆に自説を押し付けてくる教授もいたりしてその点は注意が必要ですが、それは基本書であっても同じこと。
また、予備校とは言っても今の時代ほとんどがビデオを流すだけの場合が多く、講義中疑問に思ったことを直で聞けるような状況ではないのでこの点予備校にあまり期待を持たないほうがいいような気もします。
私は別に法科大学院の回し者でもなんでもないですし、法科大学院に行けば必ず合格できると言っているわけでもないですし、それは合格率見れば一目瞭然です。
世の中の風潮という得体の知れないものに影響されていないか
この業界、特に既に法曹になった方たちに多いように思われますが、予備ルートは優秀で法科大学院ルートはうんたらかんたらという風潮があります。
しかし、果たしてそうなのか?という疑問がありました。いや、どっちが優秀かとかそんなものは論点ではなく、受験者目線で言えばどっちが早く合格できるのか?ということであり、どっちが優秀かとか特に年齢の高い受験生にとってはもはやどうでもいい話です。
若くて優秀な方であればそもそも予備ルートで一発合格していくのでしょうからそれでいいでしょう。そんな人に法科大学院に行けなどと言っているわけではありません。
また、大手の弁護士事務所などに就職したい人にとっては予備ルートなのか法科大学院ルートなのかは重要でしょう。法科大学院もどの法科大学院なのか、そして試験結果なども影響するでしょう。
しかし、単純に弁護士になって世の中の役に立ちたいとか思っている人にとってどの学校を出たとか成績がどうとか、ましてや予備だろうが法科大学院だろうがそんなことは関係のないことではないでしょうか。もし、そういう事にこだわっているとしたら、こだわってもそこにどれほどの意味があるのか自問自答してみたほうがいい、とそう思います。
自分は凡人だと思って最大限の努力をする
司法試験を受験しようなどと言う人は恐らく、いや確実に自分は頭がいいと思っていると思います。
従って、このようなことを言われても受け入れられるはずはありません。
しかし、司法試験は一般的な資格試験や大学受験などとは別物です。これは司法試験は頭が天才が受かる試験などと言う意味ではなく、勉強のやり方や問題への取り組み方、解答の仕方などが独特な面があるということです。短答式試験の解説などで散見されていましたが、この肢は常識で解ける、などという言い回し。
さて、常識ってなんでしょうか?一般的な社会の常識で考えるととんでもない目にあうのが法律の世界です。こういうのは少し法律を勉強すると分かってきますが、確かに常識的に考えればそうだよな、ということもあります。しかし、法律の問題を常識で解いていては合格するまでに相当な年月を費やすことは想像に難くありません。
仮に論文で同じ問題が出たとして常識でそうなります、などとは書かないでしょう。
従って、司法試験に合格しようと本気で思うならまず自分はできる人間だから短期合格できる、と思わずに、短期で合格するためにどれくらいの勉強時間がとれ、どんな勉強をできるか考え、必要なことは何でもやるくらいの覚悟が必要なのです。まかり間違っても、最短で合格するためにできることを敢えて省略したりしてはいけないのです。
「できるだけ勉強時間を短くするために効率的合理的な勉強方法を行い合格した」
効率が最初にありきではないのです。
何度も言いますがそれは地頭のいい人です。理解もしていない、覚えてもいないのに勉強時間を削ろうとするのは本末転倒。
点数が伸びないのならさらに勉強するしかない。この時に間違った勉強方法をとっても無駄だという意味で合理的に勉強するというのならわかります。
それが勉強時間がないからできるだけ勉強する量を少なくしようとするなら全く意味がない、というか受験しない方がいい。
勉強時間がなかったら勉強時間を増やすようにするのです。勿論明らかに無駄な勉強をしているならそれを省くしかない。しかし、無駄な勉強ってわかりますか?
過去問をやれと言われ過去問をやる、このときに正解した問題を何度も何度もやっても意味がない、そういう意味では無駄な事だと言えますが、なかなか無駄な事必要なことの峻別はつきにくい。特に試験勉強から遠ざかっているとなおさらでしょう。何から手を付けていいのかわからない、そういう人だっているに違いありません。
勉強方法の確立にそれ相応の時間がかかる人も多い、それが司法試験なのです。
受験勉強一般で言えば受験慣れしている人は既に自分に合った勉強方法というのを確立している人が多い。従って、司法試験を受験しようとする際も何をどう勉強するのが自分にとって一番最適なのか、これを合理的と呼ぼうが効率的と呼ぼうがいずれにしろ分かるのが早い人がいる。それを巷では頭がいいとか言うかもしれません。
そういう人は1日3時間程度、受験期間2年程度で合格できるのかもしれません。
勉強時間がどれだけ短かったかを争っているわけではないでしょう。合格しないなら勉強するしかない。でも間違った勉強をしても意味がない。
間違った勉強なのかどうか、自分にとってその勉強があっているかどうかは自分で勉強してみて確認するしかないんです。
合格者の勉強法を模倣してもいいですが、それが本当に自分に適しているかどうかは結局やってみないと分からない。そうすると必然的に勉強時間の最低限の絶対量というものは必要になってくるんです。
そして、その量は人によって違ってきます。一般的に5000時間必要だといわれ漫然と5000時間勉強していたら合格できるほど司法試験は甘くありません。
短期合格者の言葉を鵜吞みにし、あたかも普通にやっていれば誰でも合格できるような勘違いをする。
受験期間を短くするために勉強時間を長くする
各法科大学院の司法試験合格者数の割合を一度確認して下さい。偏差値が一般的に高い大学の法科大学院でも意外に低いところも多くあります。
それはそこに通う人たちがバカだからなのでしょうか?司法試験合格者の割合が高い法科大学院がむしろ普通と捉えがちなのがこの業界の変な傾向のような気がします。
予備試験合格者の司法試験合格者の割合は9割以上でこれが普通なのでしょうか?
ではなぜ、司法試験全体の合格者割合は低くなるのか。司法試験はある意味競争試験なので点数の上から合格者数を決めていくので必然的に落ちる人がでてきます。
これは仕方のないことです。
逆説的に言えば司法試験合格者の上位層はやはり地頭のいい人と言えるでしょう。従って、地頭のよくない人はその人たちよりも努力するしかないんです。それは自分に合った勉強方法を早く見つけて勉強しまくるしかない。
それが結局は自分にとっての最短合格への道なのです。
勉強時間を短くしようと勉強量を減らすのは本末転倒。受験期間を短くするために勉強時間を長くするんです。そうなると必然的に勉強漬けの期間が一定期間必要になります。もし、それができないというのであれば司法試験突破はきっぱりあきらめて別の道を模索したほうがよい。
プロ野球選手になろうと中学高校で野球に打ち込んで結局プロの選手になれなくてもその打ち込んだ経験から得るものはたくさんあるでしょう。厳しい練習に打ち勝った根性や仲間との友情。でも司法試験の受験勉強の経験が社会に役立つことなどありません。法律の知識が役に立つという人もいますが、そもそも何度も司法試験に落ちるということは根本的にその知識に欠陥があるのです。それは私のこのブログを読めばすぐにわかるでしょう(笑)その程度の知識は芸能人が語る蘊蓄程度のものでしかない。
まずは一定の期間を司法試験のために犠牲にできるかどうか。それを自問自答してみましょう。