風俗営業の許可や届出の考え方

ピンサロがなぜ風営法違反ではなく公然わいせつで摘発されるのか?

風俗営業の規制及び業務の適正化等に関する法律

まず、風営法にはピンサロのような業務形態は直接規定がない。
店舗型性風俗なので2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」にあたりそうである。条文をよくみると

六 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの

に該当しそうだが、政令で定めておく必要がありそうだが、検索してもよく分からなかったので保留。
いずれにしろ、2条6項にあたりそう要件がきびしくてまず許可がおりない(この場合は届け出なので届け出が受理されないという表現が適切か)。現実にピンサロは2条1項1号のキャバクラとして許可を受けて営業しているらしい(笑)
そうすると、形式的にはキャバクラでエロい事をやっていることになるが、キャバクラでエロい事しちゃいけませんとかいう法律もないわけで、風営法違反で摘発もできない。
摘発しようとするにはどの法律のどの条文が根拠になるのか?一般的には性的なサービスをしているから2条6項の「店舗型性風俗特殊営業」にあたるように思えるから、その届け出をせずに営業をしているなら27条違反で摘発できるはずである。
しかし、そうしないのは27条違反で摘発してもきちんと届出をすればいいのであればみんなそうやって届出をだすはずである。届出が受理されないのは形式的要件に合致しないからのみならず、当局としてはできるだけこういった営業を認めたくないからなのだろう。

重要なのはエロいサービス(笑)規制するような一般法がないという点だろう。だからキャバクラのようなところでエロい事しても直接的に取り締まることができない。
例えば飲食接待をする場合、店員がカウンターから出て接客してはいけないとか、そういった事で縛りをかけるようにはしているが、なんだか変な話である。
ぱちんこは賭博行為に該当するものの、ぱちんこ自体が許可されている一般法あるいは特別法のようなものはない。
風営法に禁止行為として列挙され、許可されれば営業できるような体裁になっている。見方を変えれば特別法で禁止行為に指定しているとも言えるが、賭博行為にあたることは間違いない。
刑法には賭博罪が規定されているが、競馬競輪などは特別法によってその適用は除外されている。

風営法では許可と届出が区別されているが、より厳しそうな性的サービスを伴う営業は届出である。
恐らくこれは性的行為に対して許可という表現をお上が使う事への抵抗感からだろう。実質的に許可と変わらないからである。
そもそも論として風営法に規定されていうような営業は何らかの特別法がない限り禁止されている行為ではない。
飲食するときに店員と会話をする行為自体が禁止されているわけでもなかろう。しかし、風営法では一定のラインを超えればそれを禁止しているとみることができる。
そういう観点からはピンサロも同じであって、殊更ピンサロを特別視して摘発していると考えるのは適切ではないだろう。
要するに本来届出れば要件に合致していれば受理されるものを要件に合致しないからキャバクラだと偽装して許可を受けて営業しているものを摘発しているにすぎないのだろう。
そうすると、普通に考えれば届出を出さずに営業したという意味では本来27条違反で検挙すべきなのである。
しかし、そうするとピンサロは届け出を出せば営業できる、ということでお墨付きを与えてしまうことになる。逆に言えばお墨付きを与えたくはない。そこで公然わいせつということなのだろう。
公然わいせつでの摘発を避けるために仮についたてや目隠しなどを設置してしまうと、今度は店の構造などを変更しているためそういう意味では風営法違反ということになろう。

「風俗関連諸法(改正風営法)質疑応答 その9」
また,性風俗特殊営業と異なりますから,性風俗特殊営業の地域制限は受けません。(ヘルスはなくともピンサロは各地域にありますよね?性風俗特殊営業の地域制限を受けないからなのです)

 次に許認可の関係ですが,ピンサロは風適法で許可又は届出をすべき営業として定められていません。つまりピンサロは風適法の想定外,対象外なのです。
 これはピンサロが基本的に違法性を有しているためで違法な営業を法律に基づいて許認可出来ないからです。
 何が違法かと申しますと,Hな行為が他人に容易に見れる状態と言うことです。基本的にどこでHしても違法性はありません。極端な話し,妻と自宅で69して違法ですか?不倫相手とホテルで69して違法ですか?違いますよね。お店で客と女の子が69すること,これ自体は違法性はありません(例え金員の授受があってもです)。
 違法なのはそれが誰でも見れる状態だからです。刑法175条「公然わいせつ罪」と言うことです。つまりピンサロでHしているのが悪いのではなく,それが見えるのが「悪い」事なのです。極論すれば,夫婦が家庭でHしても,窓を開けっ放しにして他人が見れる状態なら「公然わいせつ」です。

この記事に書いてあるロジックは、まず前提としてピンサロが違法だとしています。が、違法なのに風営法3条の許可をとることを前提としています。
しかし、実際に許可を得る際は店内でフェラチオをする、などということを馬鹿正直に申告するはずもないでしょう。
そもそも、公然わいせつだから違法なのであれば、衝立や目隠しをして、容易に見えないようにすればいいわけです。極論すれば個室のような形態にしておけばいいのでこうなるとファッションヘルスなどと違いはないように思いますが、いずれにしろ届出をきちんとすれば要件に合致していれば合法ですよね。
ではなぜ、そのようにしないかと言えばまず出店する場所がかなり限られている点があげられるでしょう。キャバクラとして出店したほうが話が早いからそうしているだけの偽装ですね。
では、出店した後に公然わいせつで摘発されるのを防ぐため、半個室化してしまえばいいではないかと思いますよね。で実際に半個室化しても今度は正式に風営法違反で摘発されるだけでしょう。


グループ全体で年間数十億円を売り上げるなど、ピンサロ業界最大手とされる東京・渋谷の人気風俗店「スッキリ」が警視庁に摘発された。経営者や店長、女性店員らに加え、男性客までもが逮捕される事態に至っている。

ピンサロに対する風営法の規制
 ソープランドやファッションヘルスは風営法で「性風俗関連特殊営業」に分類され、公安委員会への届出が義務付けられている。両者に共通するのは、個室を設け、そこで客に接触する性的サービスを提供しているという点だ。

 これに対し、ほとんどのピンサロは、キャバクラやホストクラブなどと同じく「接待飲食営業店」としての営業許可に基づいて営業されている。「性風俗関連特殊営業」だと営業できる地域が限られ、規制も厳しいからだ。

 そのため、「飲食店」であるピンサロは、ボックス席が仕切りなどで完全に囲まれておらず、さほど高くなく、通路から見通せる状態となっているし、客にドリンクなども提供される。あくまで女性店員と男性客との自由恋愛の延長線上で性的サービスが行われるという「建前」となっているわけだ。

公然わいせつの巣窟
 今回のピンサロも「接待飲食営業店」の営業許可に基づいて営業されていたが、実際にはボックス席で女性店員と男性客が全裸になり、性的サービスが行われていた。9つあるボックス席には扉はなく、隣の席との仕切りも低いから、性的サービスの様子が周囲から丸見えの状況だった。

 所属している70人ほどの女性店員は18歳から25歳で、警視庁による立ち入りが行われた11月5日も15人が働いていた。指名料はなく、料金は昼間なら30分7000円で、学割やコスプレイベントもあり、多い日で1日200人近くもの男性客が訪れる人気店となっていた。

 経営者らは12月5日に風営法違反でも立件されているが、基本となる罪名は店を舞台にした公然わいせつの容疑にほかならない。そのため、警察による摘発当日には、性的サービスを提供していた女性店員だけでなく、サービスを受けていた男性客までもが公然わいせつ罪で現行犯逮捕されている。

今後も摘発は続く
 既にこの客と女性店員は処分保留で釈放されており、検察による最終的な刑事処分も起訴猶予かせいぜい略式罰金で終わるだろう。それでも、今回のように性的サービスを行っているピンサロに警察の手入れがあれば、一網打尽で客までもが逮捕される可能性が高い。

 1997年には過激な性的サービスで評判だった神奈川のピンサロが、2016年には大阪のピンサロチェーンがそれぞれ公然わいせつ罪で摘発されているものの、ピンサロ業界全体としては警察が「グレーゾーン」として黙認する状況が続いていた。業界側も、店内の照明を暗くして視認性を低めるとか、全裸を禁止するといった自主規制を行う店も多かった。

 流れが変わったのは、東京五輪に向けた浄化作戦として行われた警視庁による2021年5月の上野「マジックバナナ」に対する摘発だ。ここも全裸による過激な性的サービスが行われていた。以後、7月には巣鴨「曙」、2022年7月には蒲田「レッドダイヤ」など、五輪とは全く無関係に次々と人気ピンサロ店が公然わいせつ罪で摘発されている。今回の渋谷「スッキリ」の立件もその一環にほかならない。

 これは、ピンサロを「グレーゾーン」から「完全な黒」と認定した上で、積極的に立件していこうという警察の強い姿勢のあらわれと言える。こうした摘発は、ほとんどの場合、同業者による情報提供が端緒だ。今後も折を見て、目立つピンサロに対する警察の摘発が続くことだろう。(了)

上記の記事のロジックだと、やはり公然わいせつだからダメなんだと読める。そうすると、公然わいせつにならなければよしとなる、はずである。
賭博行為でみたように、そもそも一般法である刑法では禁止?されていても特別法で合法化がされている部分がある。
公然わいせつだって風営法で許可を受ければ不問にしてもいいわけで、風営法では禁止行為として列挙されてはいない。言わばグレーゾーンである。従って、当局がその気になれば店舗型性風俗特殊営業として届出があれば営業できるという運用にしても問題はない、はずである。
届出なく営業すればそれは風営法違反となる。しかし、現在の運用はあくまで公然わいせつとしているのなら、やはり風営法では許可、或いは届出を受理されない営業形態と考えた方がいいのだろう。
仮にピンサロのような営業を行いたければ完全にカーテンなどで容易に外部から見ることができないようにする必要があるものの、この場合に実際届出が受理されるのかどうかは判然としません。
いずれにせよ現在ではこのような性的サービスを伴う店舗型の出店そのものがやりにくくなっているようです。そうすると、やはり、だったら最初から届出をせずにピンサロをやったらいいじゃないかという話になります。
そもそも論として風営法にピンサロが定義されていないとするならば風営法での許可或いは届出そのものが不要です。
従って、当局としても当然公然わいせつでしか摘発できない。だとするならば公然わいせつにならないようにカーテンなどで仕切りをする。そうすると、そもそも風営法の範疇ではないため風営法違反でも取り締まれず、公然わいせつでしか取り締まれないわけです。

ハプニングバーは違法?客も逮捕される?適用される罪と摘発事例
ハプニングバーも概ね公然わいせつで摘発されていることから、仮に完全なる個室で行為を行っていたとしたら公然わいせつでは摘発できないことになる。
風営法違反というのも深夜営業の届出違反であれば届出をしていれば済む話で、性的サービスを提供する場合もその届け出をしていれば済む話ですがその届け出が受理されるかどうかは分かりません。もっとも性的サービスを行わなければ済む話です。

本来公然わいせつとはわいせつなものが公共の場所などで不特定多数に認識されて不快な思いをする、公序良俗を害することを防ごうとするものでしょう。
見たい人が集っていて、しかも外部からはうかがい知ることのできない場所で行われている事まで公然としてしまうことに違和感を禁じざるを得ません。
段々風営法とは関係なくなってきましたが(笑)

ラブホテルは法的にどのように扱われているか

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