諫早湾開門判決は無効になっていなかった

諫早湾の潮受け堤防の開門を命じた判決は事実上無効になったので云云かんぬんよく報道されますね。
以前からこの点疑問に思っていました。一旦出た判決が再審で覆されたのなら分かりますがそうではない。開門をするなという訴訟は当事者が違いますしね。
さすが法務省。端的にまとめられていました。

判決無効ではなく請求異議による強制執行停止

諫早湾干拓関係訴訟
要するに開門を命じた判決は確定しているわけですが、それに対しての強制執行をやめさせるための請求異議訴訟で原告の主張が認められたので強制執行はできなくなったということです。
勿論強制執行と言っても無理矢理開門させることは現行法だと無理なので間接強制として制裁金を課していたと。これが毎日90万円ですからもしも放置していたら年間3億以上。
諫早湾干拓開門問題、国が支払った漁業者側への制裁金12億円の返還求めず

間接強制制裁金は執行停止で返還しなくてもよさそう

ん?ここでまた疑問が。この制裁金ってそもそもどうなるのか?返還を求めずということは返還するべきものなのか?
制裁金などという名称なら返す必要はないのでは?と思ったものの、強制執行自体が請求異議によってなかったものとして扱われるなら法的根拠を失うので不当利得となりそう。とは言え、当事者が返還を求めないなら貰ってもよさそう。しかし、国家が制裁金という名目、要は執行罰とかそういう性質で課しているなら相手方が貰えるのはやはりおかしいじゃないか(笑)

やはりこの点争いがある、というかなんら規定がないようですね。
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詰まる所、現行法上返還義務があるわけではないので債務者側が返還して欲しければ請求し、返してもらえなければ訴訟を提起して勝訴する必要がありますね。
返還求めず、などと言われるとまるで国が肝要な態度をとっているように見えますが、「もう訴訟は勘弁してくれ」との発言にもみえるように要は手打ち金でしょうか(笑)
実際まだ訴訟は継続しているものもあるようです。もし、そこで開門を命じる判決が出てそれが確定したらどうなるのでしょうか?
開門禁止の確定判決を得た訴訟では当事者が開門反対派営農者らvs国です。国はこれ幸いとばかりに大した主張もせずに裁判で負けて開門禁止に持って行ったわけですが、これってよくよく考えると開門派にとっては直接的な効力は何もないですよね?民事訴訟ですし。

この期に及んでなんでわざわざ漁業者らに対して説明会とか開いているのかと言えば、こういう経緯があるのでまた新たに訴訟が起こされることを考慮してのことなんでしょうね。
ご苦労様です。

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