債権の準占有者関連も改正されているが、とりあえずそれは置いておき以下の肢で躓く。
弁済受領権限のない者への弁済
43-18
弁済受領権限のない者への弁済が債権の準占有者への弁済として有効とならない場合でも、その権限のない受領者が債権者のために使用した場合には債権者が利益を受けた限度で有効となる。
本問は5つの肢があり選択欄は6個、つまりゼロ解答があり、正答はゼロなので本肢は正しいということである。
ということで条文自体を知らなかった。。。(笑)
新法
(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
第四百七十八条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
(受領権者以外の者に対する弁済)
第四百七十九条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。
第四百八十条 削除
旧法の479は基本的にはそのまま引き継がれている。
準占有者に対する弁済
代理人と称する者にも478条が適用される
弁済者は善意無過失が必要
債権の準占有者とは、自己のためにする意思を持って債権を行使する者で、債権者ではないのに取引通念上債権者らしい外観を有する者をいう
短答の論理
H21 〔第21問〕(配点:2)
弁済に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。(解答
欄は,[№23])
1. 弁済を受領する権限のない者に対する弁済は,債権の準占有者に対する弁済として有効にな
る場合を除き,債権者に対し効力を有しない。
2.商人間の売買契約において,買主が,慣習により定まる取引時間でない時刻に弁済の提供を
し,売主が任意に弁済を受領したときは,それが弁済期日内であれば,買主は,遅滞の責任を
負わない。
3.貸金債権について債権に関する証書がある場合において,借主は,債務の全部を弁済しよう
とするときに,その証書の返還と引換えに弁済をするべき旨を主張することができる。
4.支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは,差押債権者は,その
受けた損害の限度においても,更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができない。
5.弁済の費用について別段の意思表示がないときは,その費用は債権者の負担となるが,債務
者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは,その増加額は,債務者
の負担となる。
肢1 受領権限のない者へ弁済した準占有者として有効になる場合以外は債権者に対して効力がない← × → 効力がある
(受領権者以外の者に対する弁済)
第四百七十九条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。
間違えた理由 準占有者として有効となる場合に受領権者以外の者に対する弁済を一緒に考えたため
代物弁済
弁済の為に小切手を振り出す →弁済
弁済に代えて小切手を振り出す →代物弁済
代物弁済の効力発生 不動産は登記
弁済の充当の順番
488 同一の債権者に対する複数の債務の順番
①給付の時に弁済者が指定できる
②指定しない時は受領者が指定できる
③指定は意思表示
④いずれも指定しないとき
1弁済期にあるものとないものであれば弁済期にあるものが先
2弁済期が同じなら弁済の利益が多いものが先
3弁済の利益が同じなら先に弁済期がくるもの
4弁済の利益も弁済期も同じなら債務の額に応じて充当
489 1個の債務の弁済に不足する場合は
費用、利息、元本の順
さてここで489条2項でつまずく。意味が分からない(笑)
(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)
第四百八十九条 債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
2 前条の規定は、前項の場合において、費用、利息又は元本のいずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときについて準用する。
条文ではよくこのような表現が使われるが分かりにくいことこの上ない。この点条文の素読では対応できない。
従ってコンメンタールは必須である。
要するに費用間相互、利息間相互、元本間相互では488の規定に従う。
代物弁済と要物契約
代物弁済をすると債務消滅
この場合、代物弁済の契約のみで債務が消滅するのか?
諾成契約だと考えるとそうなるが要物契約だと考えると物を引き渡さないと債務は消滅しないことから問題となる。
新法では「その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する」と規定している事からこの論点は立法的解決をみた。
要物契約関連の改正など
483 代物弁済 給付で弁済と同一の効力 → 給付で債務消滅
※要物契約ではなく諾成契約であるとされている
549 贈与 諾成 ※書面
587 消費貸借 原則 要物
587の2 書面による消費貸借 書面で行えば物の引渡しがなくても成立する ← 諾成 → 物を受け取るまでは解除可能
593 使用貸借 改正により諾成契約になったと言われる
(使用貸借)
第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
条文の読み方によっては「受け取った物について」の解釈を受け取っていなければ効力を生じないとすることも可能であろう。
諾成契約であると結論付けられているので無償契約ではありながらモノを現実に引き渡す義務が生じることになる。
657 寄託 原則 諾成 ※寄託者の解除権 諾成だが寄託者はモノを引き渡すまでは解除可能 657の2
657の2② 無報酬の受寄者はモノを受け取るまでは解除可能 ※書面で契約すると解除は不可