胎児については一定の場合に生まれたものとみなすとされている。
とは言え、判例は生きて生まれることを条件とした停止条件説をとっているとされ、胎児のときに母親が行った和解契約を無効であるとしている。
※条文では胎児は生まれたものとみなすとされていながら、判例では結局生きて生まれるまでは権利能力はないということになる点に注意が必要である。
これが民法上の話でここまでは多少民法をかじった人ならほぼ誰でも知っているだろう。
しかし、民訴では胎児ににも当事者能力があるという。となれば胎児の法定代理人があって、そのものが訴訟を追行するというのが自然な考え方であり、
となれば訴訟上の和解も可能となろう。
このような点につき受験上は深入りせずに華麗にスルーしたほうがいいと見え、参考書などでほぼ触れられていない。
法律の理論は言わば後付けでどのような考え方もできなくはないし、判例も当該ケースに限った話だとすればいいし、生きて生まれることが条件だとは少なくとも損害賠償請求には規定されていない。
胎児の当事者能力?
ベテラン受験生ほどこういった細かいことにこだわり過ぎると、昔はよく言われていたが本当にそう思う(笑)
このような結論の見えない問題は結局試験には出ない。出すことができない。試験は試験と割り切ることが肝要だという典型例かもしれない。
要するに司法試験とは言え、結局それくらいの話であって、取るに足らない法律のお遊びで暗黙の了解のもとになんだか難しそうな事を言っているだけなのかもしれない。
※追記
上記リンク先を改めて読んでいたら新たな気づきがあった。
当事者能力は民法の権利能力に対応する。
権利能力は出生に始まる(民3条①)
胎児は出生していないので権利能力がないのが原則である。
しかし、不法行為721 相続886① 遺贈965 については胎児にも権利能力が認められる。
これらの訴訟においては死産を解除条件として当事者能力が認められることになる。基本法コンメンタール民事訴訟法ⅠP91
これが大前提である。
そして、胎児の当事者能力?によれば、胎児の間に法定代理人が和解契約ができないという判例大判昭和7年10月6日民集11-2023「阪神電鉄事件」は
訴え提起を不適法としたのではなく、胎児の間に戸主が締結した和解契約が胎児に及ばないとしたものであった。しかもこの事案では未認知の子であって戸主に代理権があるとは言い難い事案と理解でる。
仮に法定代理人が胎児のために訴え提起などの訴訟行為をしたとすれば、それが認められるかどうかはこの判決の射程外であろう。
としている。
要するに胎児の間に法定代理人がいるとかいないとか、あるいは停止条件だとか、そういうものに言及してはいないということである。
これでスッキリした(笑)
改めて思う。
判例に対する学説のご都合主義。