短答の論理 大学の自治

新司21-10
イ.大学構内への警察官の立入りは,大学側の許諾又は了解の下に行うことを原則とすべきであ
るが,裁判官の発する令状に基づいて犯罪捜査のために立ち入る場合には,大学側の許諾又は
了解を得る必要がない。

愛知大学事件を素材にしていると思われる肢イ。
前段は〇だと即断できる。後段の、令状があれば許諾不要は正しいだろうか。

愛知大学事件の判例では

大学内への警察官の立ち入りは緊急その他やむを得ない事由のある場合を除き、
裁判官の発する令状による場合は別として、
一応大学側の許諾又は了解のもとに行う事を原則とすべき、

となっているから、大学の許諾を原則とするというのは令状がある場合は除くことになる。
判例自体に令状があれば許諾不要だとは書かれていないものの、論理的に考えると令状があれば許諾は不要ということになるようだ。
別の見方からすれば許諾あれば入れるのは当たり前で、許諾なく入る事ができる場合があるというわけで、令状がなくても許諾なく入れる場合さえあるということになる(一応と言っている)。
令状があっても許諾が必要とは一言も言っていない。

~原則とすべき 〇
令状に基づく場合許諾不要 〇

判旨をよく読めと言われるが、単に丸暗記しても意味がなく、どのような場合、要件、原則、例外、などの判例の射程範囲なども分析し、論理的な帰結を理解しておかなければいけないということだろう。

裁量~投票価値の平等

https://www.moj.go.jp/content/000006517.pdf〔第9問〕(配点:3)
投票価値の平等に関する次のアからエまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らして,そ
れぞれ正しい場合には1を 誤っている場合には2を選びなさい 解答欄は アからエの順に , 。( , [№
20] [№23] から )
ア. 議員定数をどのように配分するかは,立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であ
るが,衆議院議員選挙において,選挙区間の投票価値の格差により選挙人の選挙権の享有に極
端な不平等を生じさせるような場合には 例外的に 立法府の裁量の範囲を超えるものとして ,, ,
憲法違反となる。[№20]
イ. 衆議院議員選挙において,選挙区間の投票価値の最大格差が3倍を超える場合には,憲法の
要求する投票価値の平等に反する程度に至っているといえるが,必ずしもそれだけでは,当該
議員定数配分規定が憲法に違反しているということまではできない。[№21]
ウ. 参議院議員の選挙区選挙については 地域代表の性質を有するという参議院の特殊性により , ,
投票価値の平等が直接的には要求されないと解されるから 衆議院議員選挙の場合とは異なり , ,
選挙区間における投票価値の格差が5倍を超えるような場合であっても,憲法違反とはならな
い。[№22]
エ. 議員定数配分規定が 憲法の要求する投票価値の平等に反し 違憲であると判断される場合 , ,,
そのことを理由として当該規定に基づく選挙全体を無効としても,これによって直ちに違憲状
態が是正されるわけではなく かえって憲法の所期するところに適合しない結果を生ずるから , ,
行政事件訴訟法第31条の定める事情判決の制度を類推して,議席を過小に配分された選挙区
の選挙のみを無効とすべきである。[№23]

https://www.moj.go.jp/content/000006529.pdfア×イ〇ウ×エ×

https://www.moj.go.jp/content/000006517.pdf〔第15問〕(配点:2)
地方公共団体において,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができる措置を執る
ことは,憲法第14条第1項に違反しないとした最高裁判所の判決(最高裁判所平成17年1月2
6日大法廷判決,民集59巻1号128頁)に関する次のアからエまでの各記述について,正しい
もの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい (解答欄は ) 。 ,[№38]
ア. この判決は,地方公共団体が,在留外国人を職員として採用する場合,その者について,ど
のような昇任の条件を定めるかは当該地方公共団体の裁量にゆだねられるから,その判断に裁
量権の逸脱・濫用がない限り,違法の問題を生じないとした。
イ. この判決は,日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する
特例法に定める「特別永住者」の公務就任権を制限する場合について,一般の在留外国人とは
異なる取扱いが求められると解する余地を否定した。
ウ. 憲法が,在留外国人に対し一定の範囲で公務就任権を保障しているか否かについては争いが
あるが,この判決は,これを否定する立場に立つことを明らかにしたものである。
エ. この判決は,当該地方公共団体の管理職の中に,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を
確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に
関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするものが含まれていることを前提と
している。
1. アとイ 2. アとウ 3. アとエ 4. イとウ 5. イとエ 6. ウとエ

https://www.moj.go.jp/content/000006529.pdf 正解5

 管理職選考受験資格確認等請求事件

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