4年ぶりの予備試験に惨敗

平成29年の年、予備短答を受けて愕然とした。

これ、一生受かりそうにない。。

それまでは絶対的な勉強時間が足りないだけで、もっと頑張ればなんとかなると思っていた。
ありがちな根拠のない自信。

初めて絶望に打ちひしがれ、現実に直面した感じだった。問題自体が何を言っているのかさえ分からない。
あの感覚は一体何だったのだろうか。

あれから4年ぶりに予備試験を受けた。
昨年も一応願書は出していたものの、新しいバイトなどを始めたり、また、コロナなどがあって受ける気すらなく勉強もしていなかったので結局受けなかった。
コロナで日程が延期されていたということも6月の終わりころに知った。

まだ受けられるじゃないか。ということで急遽受けるつもりでいたものの、
前日になると受けようか受けまいか悩んだあげく、全然眠れなくなり結局断念した。40歳を超えるあたりから体質が変化したのか体調が悪くなることが多く、完全に無理がきかない体に変貌。徹夜でこの暑い中、丸一日やれる自信がない。

そもそも勉強していないし受けても無駄だろう。

思えば約20年、旧司の頃から断続的に短答ばかり受けている事になる。一度も受かったことはない。
なんだかんだ言って1年間まともに勉強したことすらなく、一体何のために受け続けているのかさえ分からなくなってきた。
弁護士になれば人生一発逆転の自己実現という甘い言葉に惑わされただけなのか。
時はおりしも弁護士増員のビッグウェーブ。受験会場に若いお嬢さん方も多くなってきた頃だった。
光陰矢の如し。そんな時代もすぐに終わり、弁護士になっても食っていけない時代となる。
さらに年だけは無駄に食い、弁護士になってももはやほとんど意味がないのではないか。まさに自己満足の為だけに受験する有様となる。

俺はまだ本気出してないだけ、と言うのは言わば現実逃避、問題先送り、単なる甘えだったことに気づく。
本気を出せばやれるんだと言いつつ本気は出さない。本気を出して失敗するのが怖いからなのだ。。
本気を出して失敗すればもはや言い訳はできなくなる。本気を出さず、勉強してないしと嘯きながら人生を斜めに見る。
そして、気づく。
自分の本気は実はこれくらいなのだと。これが本気なのだ。本気を出してこれが精いっぱいだったのだと。

モラトリアム人間。

毎回毎回受験前のわずか2,3か月勉強して受かるほど司法試験は甘くない。

などと、とりとめもない事を考えていたら今年も試験前日に眠れなくなる。
やっぱり受験は断念しよう。刑法と商法に至っては文字通り無勉。今回も実質3か月ほど勉強しただろうか。
2週間ほど前から体調が芳しくなくなり、数日寝込む。
この1年はほぼ引きこもり状態。外に出るのさえ億劫なのに、このコロナ禍のさなか人混みの中で徹夜状態で試験なんか受けられようか。。。
同じように眠れなくなった受験生はいないだろうかとネットを徘徊していたらある記事が目に留まる。

親友の予備試験合格~苦節20年の軌跡。

不覚にも涙がとまらなくなる。
若い頃、白髪交じりの受験生を見て、ああはなりたくないなどと嘯いていた自分。
若い人は思うだろう。20年かけて合格してなんの意味があるのかと。もはや終わってると。
いや、自分がそう思っているのだ。しかし、果たしてそうだろうか。
確かに司法試験に合格し、判事になるとか、大手渉外事務所に入るとか、そういう一見すると華やかな自己実現を考えた場合年齢は重要だ。
若くて体力のあるうちに挑戦しろとイチローは言ったが、まさにそういうことなのだ。
何事も始めるのに遅い事はないなどという、表面的な薄っぺらい綺麗ごとが一般大衆は好きだが、年齢は重要だ。

とは言え、東京の一等地の超高層ビルの中にある洒落たオフィスで、美人秘書から電話をつないでもらうとか、そういう自己実現を考えなければ年齢なんてどうだっていい話だろう。
そういう表面的なことに価値を見出す層からは鼻で笑われることかもしれないが、そんな人間ばかりでもない。
むしろ、自分もそういう見方をしていたということに恥ずかしさを覚える。

そして、試験日。結局1時間ほどしか眠れなかった。この老体は試験に耐えることができるのか。
そう言えば旧司の短答は3時間半ぶっ通しだったことを思い出す。後半に刑法をやるともう朦朧としていたな。
さて、解答速報でざっくりした結果がでる。
今までで最低じゃないか(笑)
こんな感じで受かってたら、それはそれで司法試験委員会さま、これでイーンカイとなってしまうが。

自己採点は

憲法 17
行政法 7
民法 22
商法 採点不能
民事訴訟法 18
刑法 17
刑事訴訟法 10

問題文にチェックをし忘れていたので商法は不明。おそらく5点くらいだろう。
都合よく見積もって100点いくかいかないか。
刑法の問題がなんだか先祖返りしているような印象を受けたのだが、今後この路線でいくのだろうか。
刑事訴訟法も明らかに初めのころから傾向が変わってきている。
行政法も肢を一個一個当てる必要がある問題ばかりで、曖昧な知識では点数が伸びないようにしているようだ。

過去の予備試験受験結果から何か傾向が見えるかもしれないと思い少し検証してみることにした。

H23予備試験短答成績
H24予備試験短答成績
H25予備試験短答成績
H26予備試験短答成績
H27予備試験短答成績
H28予備試験短答成績
H29予備試験短答成績

合格点 平均点 合格者平均 自分
H23 165 130.7 184.7 128
H24 165 134.7 184.1 158
H25 170 139.5 185.3 154
H26 170 137.3 185.7 153
H27 170 138.7 187.5 145
H28 165 134.6 181.5 149
H29 160 130 174.9 126
H30 160 131.1 177.7
H31 162 133.8 177
R2 156 128.8 173.7
R3 162 132 178.7 128
平均 164.09 133.75 180.98 142.63

H23~H29まで

刑法 刑訴 法律科目のみ 教養のみ
刑法平均 自分 自分-刑平 刑訴平均 自分 自分-刑訴平 法律計 自分 自分-法律 教養平均 自分 自分-教平
18.6 20 1.4 14 18 4 107.4 119 11.6 23.2 9 -14.2
16.6 23 6.4 15.6 17 1.4 107.7 128 20.3 27.2 30 2.8
17 15 -2 17.9 24 6.1 114.4 136 21.6 25.2 18 -7.2
14.1 16 1.9 12.4 9 -3.4 105.9 129 23.1 31.5 24 -7.5
16.9 17 0.1 15.5 23 7.5 110.6 121 10.4 28.1 24 -4.1
17.5 20 2.5 16.5 25 8.5 110.3 131 20.7 24.3 18 -6.3
17.3 18 0.7 15.3 18 2.7 105.4 112 6.6 24.5 14 -10.5
17.3 17 14.6 10 107.1 96 24.9
16.86 18.25 1.57 15.31 18.00 3.83 108.81 121.50 16.33 26.29 19.57 -6.71
憲法 行政法 民法 商法 民訴
憲法平均 自分 自分-憲平 行政法平均 自分 自分-行平 民法平均 自分 自分-民平 商法平均 自分 自分-商平 民訴平均 自分 自分-民訴平
15.8 14 -1.8 12.2 15 2.8 19.2 23 3.8 12.9 12 -0.9 14.7 17 2.3
15.1 11 -4.1 12.5 16 3.5 16.3 28 11.7 14.7 14 -0.7 16.9 19 2.1
16.5 21 4.5 14.2 11 -3.2 19.7 25 5.3 12.1 16 3.9 17 24 7
17.8 22 4.2 12.7 21 8.3 17.7 24 6.3 15 16 1 16.2 21 4.8
17.3 15 -2.3 15.6 20 4.4 16.9 18 1.1 13.7 15 1.3 14.7 13 -1.7
17.6 18 0.4 14.8 16 1.2 16.3 24 7.7 12 11 -1 15.6 17 1.4
16.7 11 -5.7 12.4 14 1.6 16.3 18 1.7 14.3 14 -0.3 13.1 19 5.9
16.7 17 10.7 7 17.3 22 14.6 5 16.0 18
16.69 16.13 -0.69 13.49 15.00 2.66 17.49 22.75 5.37 13.53 12.88 0.47 15.46 18.50 3.11

このように見ると、法律系だけだと全体の平均よりは毎年上回っていて意外だった。

もっとも、全体の平均と比べてもあまり意味がない合格者平均と比べる必要がありそうだが、法務省のサイトにはないようだ。平均から推測するとざっくり法律系の合格者平均は全体の平均の3割増しくらいになるだろうか。

大体7割程度の得点率とみてよさそうだ。とは言え、では7割目指せばいいのかというとそうでもなく、教養が低い為にさらにプラスアルファが必要だろう。

今回仮に商法が10点位取れていたとしても恐らく、全体の平均よりは下になるだろう。

刑訴は以前も9点をとった年がある。

問題の形式をちょっと変えるだけで点数がガラリと変わる。個数問題や、肢の一つ一つの正誤を問う問題にするだけでどうにでも点数調整ができる。

勿論、正確な知識を身に着けていれば出題形式が大きく変わってもさほど影響なはいと思う。

あやふやな知識だとそこらへんが白日の下に晒されると言うわけだ。

憲法と行政法はもともと苦手意識があるが、11点をとった年があるのでやはり知識があやふやというのが大きい。特に行政法はそれが言える。

今回はどうせ考えても無駄だとばかりに足をサクサク切り捲ったおかげで時間が余る始末。

たいがいこういう時は問題が簡単だと錯覚していることが多く、蓋を開けてみると案の定だった。

また、受験者全体の科目別の平均点で一番低いのが行政法という結果になっている。

個人的には行政法はめちゃくちゃ悪そうと思っていたが、言うほどでもなかった。と言っても今回は散々だったし、悪い年はしこたま悪い。

ある現役の弁護士で予備校の講師もやられている方によれば、毎年短答の問題は解くそうで、おおむね9割ほどとれるらしい。さすがである。

しかし、ここからが重要である。知識だけでサクッとキレる問題は確か5割くらいだということで、残りの5割はいわゆる現場思考で解くらしい。つまり残りの5割の正答率が8割くらいになる。

ベテランになればなるほど知識に振り回されがちだが、これが間違いのもとだというわけだ。

勿論、5割は知識で解けるというのは、知識はそれくらいでいいという意味ではなく、知識を正確に押さえたうえで、それをベースにして現場思考で解くわけだ。

むしろ、そうしないと解けないわけで、そもそも条文にないようなことや判例にないようなことが聞かれる場合もある。

この時、条文を正確に押さえていればこれは条文になかったということが分かるが、曖昧な知識ではもしかしたら条文にあったかも、となること請け合いである。

この肢はなんだか変なことを言っているなどという判断も正確な知識がある場合と曖昧な知識の場合では結果は違ってくる。

その肢自体の正否は分からなくても周辺知識で潰していく事ができる場合もある。勿論、この周辺知識も正確でなければ意味はない。

そして、この周辺知識の習得には論文の問題を解くという作業が非常に効果的だということ。

短答の勉強と論文の勉強は違うのかという議論は昔からある。確かに短答でしか出ないような知識もあるが、論文の問題を解くことによって得られる知識は短答を解く際にもかなり役立つ。短答の問題を解く際に知識だけに頼ると本筋が見えなくなる場合があるが、論文的な思考で短答の問題をみてみるとあっさりと解ける場合もある。

仮にその肢の知識がなかったかとしてもあれがこうなるならこれはこうなるはずだ、と。

勿論、この場合もあれがこうなるという知識を正確に持ち合わせておく必要がある。

それはなぜそうなるのか?条文や判例はどういっているのか?なども含めた話である。

このような知識そして思考の流れは論文問題を解くことによって効率的に培われる。

短答的に言えば理由付けは知識としての理由付けを覚えることになってしまい、なぜそのような理由が生まれてくるのかを理解していない場合が多い。

言わば字面だけを覚えているような感じだろう。こうなると直接的にきかれる場合にしか対応できない。事例問題で出される場合はそれが隠れているから分かりづらいのだ。

また、文言がや言い回しがちょっとでも変わってしまうと途端に判断を迷ってしまう。これは判例問題、特に憲法や行政法の問題に顕著にある。

令和3年予備試験短答式合格発表

勿論合格者番号に私の番号はなかった。どうやっても番号が見つからないので落ちたということだろう。。。
さて、法務省の正解と某予備校の解答速報で自己採点をしたもので比較すると、なんと法務省の正解のほうが点数が15点程度よくなる。
勿論部分点などが大きいが、憲法はそもそも正答とされているもの自体が違うじゃないか。それも1問や2問ではない。大丈夫ですか〇×〇ー△
いずれにしても大勢に影響はなし(笑)

合格者平均(推定)と自分の科目ごとの得点を比較してみて

法務省のサイトでは合格者の科目ごとの平均までは分からないようなので推定してみよう。
全体平均と合格者平均を比較して約1.35倍合格者平均のほうが高いので単純に全体平均の1.35倍程度乗じてやる。

憲法 行政法
憲法平均 自分 自分-憲平 行政法平均 自分 自分-行平
15.8 14 -1.8 12.2 15 2.8
15.1 11 -4.1 12.5 16 3.5
16.5 21 4.5 14.2 11 -3.2
17.8 22 4.2 12.7 21 8.3
17.3 15 -2.3 15.6 20 4.4
17.6 18 0.4 14.8 16 1.2
16.7 11 -5.7 12.4 14 1.6
16.8 12.4
14.7 12.1
21.5 14.4
16.7 22 5.3 10.7 11 0.3
16.95 16.75 0.06 13.09 15.50 2.36

憲法の合格者平均(推定)22.94 自分平均16.75 差-6.19点

行政法 17.71 15.5 -2.21点

民法 商法 民訴
民法平均 自分 自分-民平 商法平均 自分 自分-商平 民訴平均 自分 自分-民訴平
19.2 23 3.8 12.9 12 -0.9 14.7 17 2.3
16.3 28 11.7 14.7 14 -0.7 16.9 19 2.1
19.7 25 5.3 12.1 16 3.9 17 24 7
17.7 24 6.3 15 16 1 16.2 21 4.8
16.9 18 1.1 13.7 15 1.3 14.7 13 -1.7
16.3 24 7.7 12 11 -1 15.6 17 1.4
16.3 18 1.7 14.3 14 -0.3 13.1 19 5.9
14.7 12.8 14.7
20.3 14.2 17.8
12.7 12.8 15.1
17.3 20 2.7 14.6 6 -8.6 16 21 5
17.04 22.50 5.04 13.55 13.00 -0.66 15.62 18.88 3.35

民法合格者平均(推定)23.05 自分平均22.75 -0.3点

商法18.34 13 -5.34点

民訴21.13 18.88 -2.26点

刑法 刑訴
刑法平均 自分 自分-刑平 刑訴平均 自分 自分-刑訴平
18.6 20 1.4 14 18 4
16.6 23 6.4 15.6 17 1.4
17 15 -2 17.9 24 6.1
14.1 16 1.9 12.4 9 -3.4
16.9 17 0.1 15.5 23 7.5
17.5 20 2.5 16.5 25 8.5
17.3 18 0.7 15.3 18 2.7
15.7 16.1
14.5 15.6
14.5 13.5
17.3 19 1.7 14.6 11 -3.6
16.36 18.50 1.59 15.18 18.13 2.90

刑訴20.54 18.13 -2.42点刑法22.14 18.50 -3.64点

差ランキング

憲法 -6.19点(0.06

商法 -5.34点(0.66

刑法 -3.64点(1.57

刑訴 -2.42点(3.83

民訴 -2.26点(3.11

行政法 -2.21点(2.66

民法 -0.55点(5.04

実際に合格者とそれ以外で科目ごとに点数の隔たりなどがあるかをみたいわけだが、それはわからないのであくまで参考程度に考えてみたい。

こうやってみると、憲法に苦手意識があるのが裏付けられているのだが、一方で行政法にも苦手意識があったものの思ったほどの差がなかった。

一方で民法はさほど差がついていない。

商法は単純な知識不足であることはもはや検証するまでもなく分かる。

憲法および行政法についての苦手意識は要するに短答に対する苦手意識と同義であり、これは知識とは別の話であり、厄介である。

今年の憲法は点数だけでみると過去最高タイをたたき出しているのだが、知識が格段に増えたからではないことは分かる。勿論、知識がまったくいらないわけではないが知識が増えたから点数が伸びたわけではないのでやはり、問題文、肢をざくざく切っていく論理方式が有効だったようである。

他方行政法では明らかに条文知識、判例知識の不足が多くてまったく対応できておらず検証にも値しないほどだ。

いずれにしてもこれまで、いくら知識を増やしても憲法および行政法の判例などの問題で7割以上をコンスタントにとるのは私では無理ではないかと考えていたものに多少光明が見えてきたと言ってよい。少なくとも手の施しようがないといった状態からかなり改善されたのは間違いない。

刑法、および両訴は年によってかなり点数にブレがあるのがわかる。

特に刑法は結構差をつけられており、予備試験が始まったときの点数は悪くないもののその後一気に急降下している。旧司とは違い、パズル問題がなくなりごく基本的な知識を選択形式で出題されるようになったが、要するに実は基本的な知識をきちんと理解していなかったということだ。また、論文的な知識もかなり不足しているのは否めない。

そうすると、両訴の点数のブレも合点がいく。両訴の論文問題などこれまでまったくやったことすらないのだから、知識が断片的になりすぎていて事例問題や、角度を変えた出題形式だとすぐに馬脚を露すのだろう。

比較的点数のいい民法でさえ、各年の点数をみると下は18点から上は28点とブレが大きい。明らかに28点はたまたまだと分かる。点数が安定しないのはやはり知識の不正確さであり、またそれは論文的な知識、訓練が不足しているせいである。

令和3年予備試験短答成績通知書くる

どうやら民訴と商法の解答欄を逆にしてマークしたようだ。。。(笑)※その後司法試験委員会のほうが間違えていたらしい(笑)
確かに解く順番を変えたな・・・点数が変わらないので別にいいが。

今年の試験では憲法が意外によく、これはやはり論理的に対応するようにしたからだろう。そうだろう。
よくよく考えてみると、合格者と一番差のある科目は恐らく教養で、かつ全体の平均点からももっとも差があるのだからこれも無視できない。
憲法はおそらく対策が完了したと思われるので、後は商法と刑法そして行政法と民訴と刑訴って全部やないかい。

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