Contents
地方公共団体に行手法が適用されないもの
地方公共団体の場合
地方公共団体の行う行政指導
条例レベルの処分、届け出
命令等を定める行為
行政手続法が適用にならないもの
行政手続法が適用されないもの
国会とか司法関係、学校、地方公共団体 の行う処分とか行政指導
地方公共団体は行政手続法は原則適用除外だが、法律レベルを根拠とした処分、届け出は適用される
行政手続法の適用除外のざっくりとした考え方
地方公共団体を最初に考えると混乱するのでまず原則としての3条がある
3条には国会とか裁判所とかずらずらと書かれているが、これはなんとなく常識で分かりそうなものが多い。
この中で注意を要するのは2章から4章の2までを適用しないとする1項
2章から6章まで適用しないとする3項で、3項は地方公共団体のみである。
適用除外
国会とか裁判所の処分、行政指導 → 2章から4章の2
地方公共団体の行政指導、処分及び届け出(条例レベル)、命令等の制定 → 2章から6章
地方公共団体に行手法が適用される場合
また逆に地方公共団体であっても適用されるものは
法律レベルを根拠とする処分と届け出
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 申請に対する処分(第五条―第十一条)
第三章 不利益処分
第一節 通則(第十二条―第十四条)
第二節 聴聞(第十五条―第二十八条)
第三節 弁明の機会の付与(第二十九条―第三十一条)
第四章 行政指導(第三十二条―第三十六条の二)
第四章の二 処分等の求め(第三十六条の三)
第五章 届出(第三十七条)
第六章 意見公募手続等(第三十八条―第四十五条)
第七章 補則(第四十六条)
行手法適用除外覚え方
従って覚え方としては適用除外されるものとして
国会とか司法関係、学校、地方公共団体 の行う処分とか行政指導。
地方公共団体は原則行政手続法は適用除外だが、法律レベルを根拠とした処分、届け出は適用されると覚える
(適用除外)
第三条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
五 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
六 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び行政指導並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分及び行政指導
七 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
八 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
九 公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第一項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
十 外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る。)及び行政指導
十三 公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
十四 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
十五 審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
十六 前号に規定する処分の手続又は第三章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導
2 次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。
一 法律の施行期日について定める政令
二 恩赦に関する命令
三 命令又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令又は規則
四 法律の規定に基づき施設、区間、地域その他これらに類するものを指定する命令又は規則
五 公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について定める命令等
六 審査基準、処分基準又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの
3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
行政手続法の第三条には適用除外される場合が規定されている。
1項5号に司法警察職員がする処分及び行政指導がある。が適用除外されるのは2章から4章の2までで、5章の届出は含まれていない。
5章と言っても37条の1条しかないが。
警察は被害届を受理しないとか、或いは被害届の提出を思いとどまらせるなどの行政指導が許されるのか
余談とも言えないが。
(届出)
第三十七条 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
この点、警察が被害届を受理しないといった事がよく聞かれるが、犯罪捜査規範などによるまでもなく行政手続法にも違反しているのではないか?という疑問があった。
もっとも、地方自治体の警察は文字通り地方自治体の警察官なので
3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。
第3条第3項によってやはり適用除外になって受理しなければならないとは言えないということか。
3条①
五 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
警察の行う処分や指導については行手法が適用されないが、適用されないの2章から4章の2まで。
被害届は文字通り届け出なのか、それとも一定の捜査などを行って欲しいという一種の申請にあたるのか?
届け出だとすると、37条は適用になるので、形式的に不備がなければ警察であっても被害届を受理しないという事は行手法に違反するとも考えられる。
するとやはり犯罪捜査規範などを根拠にして訴えていくということになるのか。
被害届について
犯罪捜査規範
第61条(被害届の受理)
第1項 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
第2項 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第六号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。この場合において、参考人供述調書を作成したときは、被害届の作成を省略することができる。
条例制定行為に行手法は適用されるのか問題
試験的に重要なのは地方公共団体に適用されるとかされないとかの部分。
要するに原則として地方公共団体には行政手続法は適用されない。
地方公共団体であっても適用されるのは国レベルの法的根拠があるもの(処分、届け出)になる。
行政指導についてはカッコ書きで限定されていないためいずれにしろ適用除外。
とは言え、意見公募手続きにはカッコ書きがないので法律を根拠にした条例を制定する場合であっても適用なしということか?
~以下余談
この点、「地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない。」となっている。
命令等に条例も含まれるのか。2条の定義を見てみよう。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。
命令と条例は区別されているものの、第三条3項には「地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない」と、命令等を定めると等という非常に曖昧な言葉がくっついているので問題となる(多分誰も問題にしていない(笑))。
条文だけは判然としないのでやはりこれは基本書などであたってみるしかない(最初からそうしなさい)。
「命令」 法律に基づく政令、府令、省令、外局規則等。「命令等」の「等」には審査基準、処分基準、行政指導指針が含まれる。
何に躓いているかと言えば条例を制定する場合に行手法の6章が適用されるかされないかである。
この点を明確に解説しているものがまだ見当たらない。
処分などを行う際に当該処分の根拠が法律レベルであれば適用されるという理屈からは当該条例制定行為の根拠が法律だったら行手法の意見公募手続きは適用されるということになるが、条例を制定する行為自体の根拠なのか?それともその条例の内容自体が法律の委任を受けているなど法律が根拠になっている必要があるのかがよく分からない。恐らく条例の内容だと読むほうが素直だろうが、とは言え、自治体が条例を制定する権利というのは自治体固有の権利ではなく法律で許されているとすると結果根拠が法律になってしまうのだろうか。
条例制定権の根拠は憲法から直接与えられていると言われているが、地方自治法でも規定されているので法律を根拠にして条例制定できるとも言える。
ここらへんなんとでも言えそうな気がするが、問題にされていない点からすると考えすぎということだろうか。
結局行手法の意見公募手続の適用対象に条例が含まれるか否か明確に言及しているものをネットでも見つけることができなかった。
いずれにしても自治体の条例では意見公募手続がある。