刑事訴訟法に規定されている異議

証拠調べに関して異議申し立てできる。
ただし、裁判所の証拠調べの決定については法令に違反している場合のみ。

裁判長の処分に対して異議申し立てできる。※証拠調べに関する裁判長の処分ここに含まれない。訴訟指揮と法定警察権に関してが対象。法令に違反する場合のみ。

※改めて読み返すと意味不明(笑)

異議の申立は、個々の行為、処分又は決定ごとに、簡潔にその理由を示して、直ちにしなければならない

従って相当でない事を理由とする異議申し立ては証拠調べに関して(証拠調べの決定に関するものを除く)である。
※これも日本語の文章としておかしい(笑)

今年の予備試験短答刑事訴訟法第25問で異議申し立てに関する問題が出ていた。
まったく分からなかったのでほぼ適当にマークし、完敗。
そもそも異議申し立てってどういう時にできてできないとかあったのかさえよく分からない。
とりあえず、刑事訴訟法に規定があるかどうかみてみよう。
今の時代六法でちんたら調べる必要はない。egov様で一発で検索できる。いい時代になったものである。

第四十四条 裁判には、理由を附しなければならない。
② 上訴を許さない決定又は命令には、理由を附することを要しない。但し、第四百二十八条第二項の規定により異議の申立をすることができる決定については、この限りでない。
第五十条 公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、次回の公判期日において又はその期日までに、前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。この場合において、請求をした検察官、被告人又は弁護人が証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てたときは、その旨を調書に記載しなければならない。
第五十一条 検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てることができる。異議の申立があつたときは、その旨を調書に記載しなければならない。
② 前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後十四日以内にこれをしなければならない。ただし、第四十八条第三項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理ができた日から十四日以内にこれをすることができる。
第八十三条 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
② 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
③ 被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。
第百四十条 裁判所は、第百三十七条の規定により過料を科し、又は前条の規定により身体の検査をするにあたつては、あらかじめ、検察官の意見を聴き、且つ、身体の検査を受ける者の異議の理由を知るため適当な努力をしなければならない。
第百八十八条の五 前条の補償は、被告人又は被告人であつた者の請求により、当該上訴裁判所であつた最高裁判所又は高等裁判所が、決定をもつてこれを行う。
② 前項の請求は、当該上訴に係る原裁判が確定した後二箇月以内にこれをしなければならない。
③ 補償に関する決定で高等裁判所がしたものに対しては、第四百二十八条第二項の異議の申立てをすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。
第二百七十六条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
② 公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
③ 前項但書の場合には、変更後の公判期日において、まず、検察官及び被告人又は弁護人に対し、異議を申し立てる機会を与えなければならない。
第二百九十九条 検察官、被告人又は弁護人が証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名及び住居を知る機会を与えなければならない。証拠書類又は証拠物の取調を請求するについては、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。
② 裁判所が職権で証拠調の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
第三百一条の二 次に掲げる事件については、検察官は、第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる書面であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ(逮捕又は勾留されている被疑者の取調べに限る。第三項において同じ。)又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(第二百十一条及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。第三項において同じ。)の弁解の機会に際して作成され、かつ、被告人に不利益な事実の承認を内容とするものの取調べを請求した場合において、被告人又は弁護人が、その取調べの請求に関し、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べたときは、その承認が任意にされたものであることを証明するため、当該書面が作成された取調べ又は弁解の機会の開始から終了に至るまでの間における被告人の供述及びその状況を第四項の規定により記録した記録媒体の取調べを請求しなければならない。ただし、同項各号のいずれかに該当することにより同項の規定による記録が行われなかつたことその他やむを得ない事情によつて当該記録媒体が存在しないときは、この限りでない。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二 短期一年以上の有期の懲役又は禁錮に当たる罪であつて故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件
三 司法警察員が送致し又は送付した事件以外の事件(前二号に掲げるものを除く。)
② 検察官が前項の規定に違反して同項に規定する記録媒体の取調べを請求しないときは、裁判所は、決定で、同項に規定する書面の取調べの請求を却下しなければならない。
③ 前二項の規定は、第一項各号に掲げる事件について、第三百二十四条第一項において準用する第三百二十二条第一項の規定により証拠とすることができる被告人以外の者の供述であつて、当該事件についての第百九十八条第一項の規定による取調べ又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項の弁解の機会に際してされた被告人の供述(被告人に不利益な事実の承認を内容とするものに限る。)をその内容とするものを証拠とすることに関し、被告人又は弁護人が、その承認が任意にされたものでない疑いがあることを理由として異議を述べた場合にこれを準用する。
④ 検察官又は検察事務官は、第一項各号に掲げる事件(同項第三号に掲げる事件のうち、関連する事件が送致され又は送付されているものであつて、司法警察員が現に捜査していることその他の事情に照らして司法警察員が送致し又は送付することが見込まれるものを除く。)について、逮捕若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき又は被疑者に対し第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(第二百十一条及び第二百十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない。司法警察職員が、第一項第一号又は第二号に掲げる事件について、逮捕若しくは勾留されている被疑者を第百九十八条第一項の規定により取り調べるとき又は被疑者に対し第二百三条第一項(第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定により弁解の機会を与えるときも、同様とする。
一 記録に必要な機器の故障その他のやむを得ない事情により、記録をすることができないとき。
二 被疑者が記録を拒んだことその他の被疑者の言動により、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。
三 当該事件が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三条の規定により都道府県公安委員会の指定を受けた暴力団の構成員による犯罪に係るものであると認めるとき。
四 前二号に掲げるもののほか、犯罪の性質、関係者の言動、被疑者がその構成員である団体の性格その他の事情に照らし、被疑者の供述及びその状況が明らかにされた場合には被疑者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあることにより、記録をしたならば被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき。
第三百九条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。
② 検察官、被告人又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。
③ 裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。
第三百十五条の二 第二百九十一条の二の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。但し、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。
第三百十六条の五 公判前整理手続においては、次に掲げる事項を行うことができる。
一 訴因又は罰条を明確にさせること。
二 訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許すこと。
三 公判期日においてすることを予定している主張を明らかにさせて事件の争点を整理すること。
四 証拠調べの請求をさせること。
五 前号の請求に係る証拠について、その立証趣旨、尋問事項等を明らかにさせること。
六 証拠調べの請求に関する意見(証拠書類について第三百二十六条の同意をするかどうかの意見を含む。)を確かめること。
七 証拠調べをする決定又は証拠調べの請求を却下する決定をすること。
八 証拠調べをする決定をした証拠について、その取調べの順序及び方法を定めること。
九 証拠調べに関する異議の申立てに対して決定をすること。
十 第三目の定めるところにより証拠開示に関する裁定をすること。
十一 第三百十六条の三十三第一項の規定による被告事件の手続への参加の申出に対する決定又は当該決定を取り消す決定をすること。
十二 公判期日を定め、又は変更することその他公判手続の進行上必要な事項を定めること。
第三百十六条の十六 被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三百十六条の十四第一項並びに前条第一項及び第二項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、検察官請求証拠について、第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。
第三百十六条の十九 検察官は、前条の規定による開示をすべき証拠の開示を受けたときは、第三百十六条の十七第二項の規定により被告人又は弁護人が取調べを請求した証拠について、第三百二十六条の同意をするかどうか又はその取調べの請求に関し異議がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。
第三百二十条 第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
② 第二百九十一条の二の決定があつた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない。但し、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
第三百五十条の四 第三百五十条の二第一項の合意をするため必要な協議は、検察官と被疑者又は被告人及び弁護人との間で行うものとする。ただし、被疑者又は被告人及び弁護人に異議がないときは、協議の一部を弁護人のみとの間で行うことができる。
第三百五十条の十二 前条の場合には、当該議決に係る事件について公訴が提起されたときにおいても、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠並びにこれらに基づいて得られた証拠は、当該被告人の刑事事件において、これらを証拠とすることができない。
② 前項の規定は、次に掲げる場合には、これを適用しない。
一 前条に規定する議決の前に被告人がした行為が、当該合意に違反するものであつたことが明らかになり、又は第三百五十条の十第一項第三号イ若しくはロに掲げる事由に該当することとなつたとき。
二 被告人が当該合意に基づくものとしてした行為又は当該協議においてした行為が第三百五十条の十五第一項の罪、刑法第百三条、第百四条、第百六十九条若しくは第百七十二条の罪又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるとき。
三 証拠とすることについて被告人に異議がないとき。
第三百五十条の十四 検察官が第三百五十条の二第一項の合意に違反したときは、被告人が第三百五十条の四の協議においてした供述及び当該合意に基づいてした被告人の行為により得られた証拠は、これらを証拠とすることができない。
② 前項の規定は、当該被告人の刑事事件の証拠とすることについて当該被告人に異議がない場合及び当該被告人以外の者の刑事事件の証拠とすることについてその者に異議がない場合には、これを適用しない。
第三百五十条の二十五 裁判所は、第三百五十条の二十二の決定があつた事件について、次の各号のいずれかに該当することとなつた場合には、当該決定を取り消さなければならない。
一 判決の言渡し前に、被告人又は弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回したとき。
二 判決の言渡し前に、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述を撤回したとき。
三 前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。
四 当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。
② 前項の規定により第三百五十条の二十二の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。ただし、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。
第三百五十条の二十七 第三百五十条の二十二の決定があつた事件の証拠については、第三百二十条第一項の規定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
第三百八十五条 控訴の申立が法令上の方式に違反し、又は控訴権の消滅後にされたものであることが明らかなときは、控訴裁判所は、決定でこれを棄却しなければならない。
② 前項の決定に対しては、第四百二十八条第二項の異議の申立をすることができる。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。
第四百二十八条 高等裁判所の決定に対しては、抗告をすることはできない。
② 即時抗告をすることができる旨の規定がある決定並びに第四百十九条及び第四百二十条の規定により抗告をすることができる決定で高等裁判所がしたものに対しては、その高等裁判所に異議の申立をすることができる。
③ 前項の異議の申立に関しては、抗告に関する規定を準用する。即時抗告をすることができる旨の規定がある決定に対する異議の申立に関しては、即時抗告に関する規定をも準用する。
第四百六十一条の二 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。
② 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
第五百二条 裁判の執行を受ける者又はその法定代理人若しくは保佐人は、執行に関し検察官のした処分を不当とするときは、言渡をした裁判所に異議の申立をすることができる。

。。。。(笑)

刑訴法には異議申し立ての総則規定のようなものがあるのか?

第三百九条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。
② 検察官、被告人又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。
③ 裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。

309②に裁判長の処分全般に異議申し立てできるとあるのでこれが総則的な規定と言ってもいいかもしれない。

異議申立て事由

そして規則205条に異議申し立ての事由についての規定がある。
309①証拠調べに関しての異議申立ては法令違反、相当でない事を理由として行える。
  ※証拠調べの決定(証拠採否の決定)については法令違反のみ
309②裁判長の処分については法令違反のみ

異議申し立てについて総則的な規定があるわけではなく異議があるときはとか、できないとかある。つーことは原則異議できるってことか?
ということでやはり素直に基本書にあたったほうがよさそうだが異議について試験によく出ているところだけ押さえておこく。

異議申し立てでよく引き合いに出される条文

https://www.legamaga.com/932/
証拠調べに関し法令違反がある場合(刑事訴訟法309条1項)
証拠調べに関し相当でない場合(刑事訴訟法規則205条1項)
裁判長の処分に法令違反がある場合(刑事訴訟法309条2項)

概ね基本書などを漁ると上記の事が書いてあるものの、刑事訴訟法を改めてみるとそうとばかりは言えないことがわかる。というかこの分類の仕方は少々わかりにくい。

具体的な当てはめが結局問題

また、証拠調べに関し相当でない場合って具体的にどういう場合なのか疑問になるのが当然で、上記記事にはさらにこう書いてある。

証拠調べに関し相当でない場合については、証拠調べに関する決定に対してはできません。つまり、証拠決定、証拠調べの範囲・順序・方法を定める決定には、相当でないことを理由に異議を出すことはできないのです

なにを言っているんだ(笑)これは日本語なのか。。。

但し,弁護人や検察官が証拠調べ請求をした証拠の採否について,裁判所の証拠決定に対する異議は,相当でないことを理由とすることはできません。
刑事裁判における異議の種類

証拠調べに関する異議申し立てができる場合とできない場合

つまり、
証拠調べに関して異議申し立てできる。ただし、裁判所の証拠調べの決定については法令に違反している場合のみ。
と換言できる。
証拠調べに証拠調べの決定が包含されており、かつ証拠調べの決定の場合のほうが条件が厳しい。とは言え、刑訴法の条文にはここまで書かれておらず、かつ説明の仕方が人によって違うのでアバウトに記憶してしまいがち。

証拠調べに関する決定は420条1項にいう訴訟手続きに関し判決前にした決定にあたり、特別のモノを除いてはこれに対して抗告できない(条解刑訴672頁)。この事からすると、ここに規定されている異議は特別に許されたものであり、他に規定されている(50条など)異議とは性質を異にするものと言える。

証拠調べに関する(裁判所の決定を除く)ものに対しては相当でない事を理由とする異議が認められているのはこれでなんとなく理由が分かる(ほんまでっか)。

証拠調べに関しての異議 まとめ

難しく表現し過ぎてもうわけがわからない(笑)

刑事裁判における異議の種類
証拠調べに関して申し立てる異議としては,証人尋問における検察官の尋問に対する異議だけではなく,検察官の冒頭陳述に対する異議,裁判所の証拠決定に対する異議などがあります。
異議の理由としては,法令違反だけではなく相当でないことを理由とすることができます。
但し,弁護人や検察官が証拠調べ請求をした証拠の採否について,裁判所の証拠決定に対する異議は,相当でないことを理由とすることはできません。

つまり
証拠の採否決定についての異議は法令違反のみ
証拠調べ全般の異議は法令違反のみならず相当でないことを理由としてもできる

第三百九条 検察官、被告人又は弁護人は、証拠調に関し異議を申し立てることができる。
② 検察官、被告人又は弁護人は、前項に規定する場合の外、裁判長の処分に対して異議を申し立てることができる。
③ 裁判所は、前二項の申立について決定をしなければならない。

※証拠調に関する決定とは
証拠の採否に関する決定、証拠調の範囲、順序、方法を定めまたは変更する決定(297)等のほか、職権による証拠廃除決定(規207)も含まれる(条解刑事訴訟法P676)

異議申し立てに対する決定に対する不服申し立て(抗告)はなぜ許されないのか?

異議申し立てに対する決定は抗告の対象とならない(条解刑訴675頁)。さらっと流されているがその理由は定かではない。
抗告は一度ここでも書いたことがあり、再度見直してもよく分からない(笑)
結論から言えば419条の一般抗告ができる範囲が限りなく狭いからということになる。

裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない(420条1項)。この規定によりほとんど通常抗告はできないことが分かった(笑)
許されない理由は分からないが。

結局通常抗告が許されるのは420条2項、判決を目標とする訴訟手続きの過程においてなされたものでない決定に限られる(条解刑訴1101頁)。

第四百二十条 裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、この法律に特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合を除いては、抗告をすることはできない。
② 前項の規定は、勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する決定及び鑑定のためにする留置に関する決定については、これを適用しない。
③ 勾留に対しては、前項の規定にかかわらず、犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告をすることはできない。

勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する決定及び鑑定のためにする留置に関する決定については抗告できる。
ん?異議申し立てではなく抗告。どういう違いがあるのか?
抗告は上級審で審理し、異議申し立ては原審で審理する、という説明では不十分だろう。勾留については抗告できるのは分かるがなぜ異議申し立てできないのかの説明にはならない。

ネットで検索しても腑に落ちる説明はない。

抗告は裁判所のした決定にたいしてすることができる。419条
明文の規定がなくても原則として裁判所の決定に対して許される条解刑事訴訟法P1101
が、特別の定めがある場合は許されない。そしてこの特別の定めが広範囲に及び、結果として前述の如く420条2項くらいしかないと続く。

これ以上深入りしても益は少なそうなので、とりあえず異議の申し立てができるのは個別に規定がある場合と、309条①証拠調べ②裁判長の処分などとしておこう。

異議の申立てとは訴訟手続きの瑕疵の是正

異議の申立ては訴訟手続の瑕疵の是正手段を当事者に認めたものであって、その性質上法令違反を理由とするものが本則である。条解刑事訴訟法P676
従って訴訟指揮や法廷警察権などの裁判長の処分は法令違反を理由とする異議申立てにとどめられている(390②)※裁量権の逸脱は法令違反になりうる
つまり証拠調べに関して不相当な理由でも異議申立てが認められているのが例外的と言えるようだ。

異議申立てと抗告の分水嶺

419条で裁判所のした決定に対して抗告が許される旨の規定があるが、
420条で裁判所の管轄 又は 訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては原則的に抗告できない(即時抗告をすることができる旨の規定がある場合、勾留、保釈、押収 又は 押収物の還付に関する決定及び 鑑定のためにする留置に関する決定を除く)とする。
条文の体裁として一般的に裁判所の決定にたいして抗告が許されるようになっているが、実際はできない場合が多い。
訴訟手続きに関しての決定などは異議申立てと抗告が重複する部分がでてきそうであるが、この点特に論点として取り上げられていないのでどうでもいいのだろう。
要するに異議申立てと抗告の違いを突き詰めても試験的には意味がなさそうである。。。
また、時間の無駄だった(笑)

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