危険運転致死傷罪について (平成13年12月5日公布、同年12月25日施行)
「走行させ」
全体として車の走行のコントロールが非常に困難な状態、そういう運転行為
→車両を道路あるいは交通の状況に従って的確に走行させることが困難な状態
◎このような状態を認識していることが必要
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
「次に掲げる行為を行い、よって人を死傷させた」と規定されていることから、掲げられている行為についての認識は必要な結果的加重犯ということのようだ。
従って死傷についての故意までは不要。
となると同法3条はどうなるか?
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
正常な運転が困難である状態を認識している必要があるのか?
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に関するQ&A
具体的には,
○ アルコールや薬物,又は病気のために正常な運転に支障が生じるおそれが
ある状態で,そのことを自分でも分かっていながら自動車を運転し,
その結果,
○ アルコールや薬物,又は病気のために正常な運転が困難な状態になり(こ
の状態になったことは,自分で分かっている必要はありません ,人を死亡 。)
させたり,負傷させたりした
とすると、自動車を運転する前から前後不覚に陥っている場合は適用対象外なのか?
時速194キロでの走行は危険ではない?
時速約194kmで走行し死亡事故を起こし起訴された元少年に被害者遺族が「危険運転致死罪」への変更求める
去年4月、警察は男性被告を危険運転致死の疑いで書類送検していた。一方、大分地検は先月22日、危険運転致死(最高刑懲役20年)での起訴を見送り、より刑の軽い過失運転致死(最高刑懲役7年)の罪で男性被告を起訴した。
どうやら危険運転致死傷だと無罪になりかねないので起訴の段階で無難に過失運転致死にしたようですね。
コメントに裁判官ではなく検察を批判しろというものがありましたが、よくよく考えるとこれまでの裁判での判例の流れをみての検察の判断だと思われるのでなんとも言えませんが。
改めて条文読むと、別に薬物やアルコールなどの影響がなくても
「二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」にもろに該当すると思われるのですが皆さんどうお考えでしょうか。
結果として事故が起きているのでもはや反論の余地なしと思われますが。
逆にどういう弁論をすれば無罪となるのか、やはり危険運転致死傷で起訴するべきでしょう。やはり分が悪いとなれば罪名変えればいいのでは?