参加承継 引受承継についての混乱

承継についてなぜ混乱するのか?

訴訟承継という言葉の響きだけだと相続や譲渡も同じように考えてしまいがちだからだろう。
勿論、きちんと勉強していればこのような事はないから勉強していないだけだからである。

特定承継 参加承継、引受承継
  
当然承継 中断、受継の問題 ※当事者は変わらないが中断を生ずる場合もある(訴訟能力や法定代理人の得喪)※承継があっても中断しない場合もある(訴訟代理人がいる場合)
当事者が死亡した場合相続人が訴訟を承継するが、受継するまで中断する 124条1項
特定承継の場合は中断しない
逆に言えば、中断事由があるものが当然承継で、実質的に当事者が変わっても(訴訟法的には変わっていない)中断しないものが特定承継

当然承継の場合は何もしなくても当事者が交替しているのに、受継の申し立てをしなければ裁判は中断する
特定承継の場合は何もしなければそのまま裁判は進行する

結局当事者が死亡したり、訴訟能力がなくなった場合は参加承継や引受承継の範疇ではないという事である

口頭弁論終結前と口頭弁論終結後の承継そして相続などの一般承継

参加承継、引受承継は口頭弁論終結前に目的物を譲渡するなどした場合の話である。
口頭弁論終結後については115条で規定されている。
また、当事者が死亡して相続などが発生した場合にも参加承継や引受承継などを行えるかというと、それは中断事由で124条の受継手続きの話である。
もっとも条文だけをみても参加承継や引受承継が相続には使えないなどということは分からない。

既判力の拡張と承継 口頭弁論終結後の承継人と訴訟承継

115条の口頭弁論終結後に判決の効力が及ぶか及ばないかという問題がよく出る。
これと参加あるいは引き受けさせられるかどうかという問題はまったく別の話である。

訴訟承継は口頭弁論終結前の話

口頭弁論終結前に訴訟物につき当事者適格を承継したも者(例えば、第三者に貸金債権を譲渡した場合の第三者)は、当然に訴訟における当事者の地位を引き継ぐものではない。参加、引き受けの方法によらなければないから、この方法によって訴訟当事者とならない限りは既判力は及ばない。相続などの一般承継の場合には中断事由となり受継手続き(124)により地位を受け継ぎ既判力を及ぼす。民事訴訟法概説P131※受継しなくても理論的には当事者となるようである。25-33肢1

口頭弁論終結後の承継の承継とは

訴訟承継と115条の口頭弁論終結後の承継人の話はまったく別個の話をしているかというと必ずしもそうではない。
既判力をどこまで、あるいは誰に及ぼすかという観点からは、特定承継であろうが一般承継であろうが適用されるのが115条であり、適用される時点の話である。
ここで問題となるのは、承継(115)と一言で言っているが、そもそも承継とはどういうことを言うのかである。
言い換えれば、既判力を及ぼしていいのは誰なのか、どこまでか、という事になる。
そして、かなり争いがあるので深入りしても得るものは少ない。
試験的に言えば既判力が及ぶものと及ばないものを列記して理由付けを覚えたほうが早い。

訴訟物(訴訟物となった権利義務)の譲受人に既判力が及ぶのは争いがない
係争物の譲受人も既判力が及ぶ ※

既判力が及ぶとしてその内容がどのようなものか、どのような効果なのかはまた別問題である
口頭弁論終結後の承継人

参加、引受承継についての考え方

参加承継と引受承継関連の条文は一度整理したほうがいいと思っているのは私だけではないはずだ。
ここら辺、一発で理解できる独学の受験生はいるのだろうか(笑)
分かったつもりになっていて、再度復習してみるとまるで初見のような新鮮さで呆れてしまう(笑)

ちょっと参考になった部分があったので引用させて頂きます。

第12回 「訴訟承継」を理解するためのポイント Part.2~
なぜ、参加承継の場合には必要的共同訴訟としての規律の適用があるのに、引受承継の場合には(同時審判ではあるものの)通常共同訴訟として規律しか適用されないのでしょうか。

参加承継も引受承継も、合一確定の必要がある。この点、参加承継については、独立当事者参加の規律を借用できたことで、必要的共同訴訟に関する40条の準用が可能となり、無事に合一確定の要請を満たすことができた。しかし、引受承継については、参加人が自ら訴訟に参加していく形態をとらないため、独立当事者参加の規律を借用できず、必要的共同訴訟に関する40条の準用が不可能であった。そこで仕方なく、同時審判申出共同訴訟の規律(弁論の分離不可)で我慢することにした

参加承継・引受承継 条文マップ

条文だけを見ても参加なのか引受なのか判然としない。
「49条が承継人にみずから、傘下によって前主の訴訟状態条の地位を承継する機会を与えるものと解すれば(参加承継)、50条が相手方からの訴訟引受の申し立てによって承継人に対して訴訟承継を強制する機会を与える(引受承継)との相表裏するものと考えられる。」基本法コンメンタール民事訴訟法1P143
参加承継を権利、引き受けを義務と考えるのはどうやら間違いのようである。
いずれにしろ、49条は参加承継した場合の時効中断の話であり、訴訟引受についての50条のような規定の仕方と趣が異なる。

以前書いていた以下の参加と引き受けでカテゴライズしていたのは少々違うようだ。
要するに参加承継は49条、引受承継は50条で規定されているとコンメンタールでは言っている。具体的な運用は51条で規定されている。

参加 権利 49(47)
   義務 51前段(47,48,49)

引受 権利 51後段(50)
   義務 50①(41①③、48,49)

条文構造

51条に訴訟参加と訴訟引受の規定がある。

参加する場合は独立当事者参加の規定を利用する ※47条から49条準用 独立当事者参加を使う
引受させる場合は権利引受も義務引受も結局50条を準用 50条では41①③同時審判を使う

とは言え、参加承継は独立当事者参加とは全く別個の制度

第12回 「訴訟承継」を理解するためのポイント Part.2~
参加承継と独立当事者参加の参加後の効力の違いとして一番大きいものはなんでしょうか。
 それは、「訴訟状態帰属効」の有無ということになります。
そもそも、承継制度自体が、従来の訴訟で積み上げられてた訴訟状態を台無しにすることを防止することにあることは皆さんもご存知でしょう(当事者恒定主義の弊害を回避する、などといわれます)。
このことから、参加承継や引受承継があった場合には、従来の訴訟状態は維持された上で、参加がなされるのです。第11回でも述べたように、被参加人(譲渡人)がなした自白にさえ、譲受人は拘束されます。
しかし、独立当事者参加にはこのような効力はありません。

(独立当事者参加)
第四十七条 訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4 第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。
(訴訟脱退)
第四十八条 前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。
(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等)
第四十九条 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなす。
2 前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。
(義務承継人の訴訟引受け)
第五十条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。
(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条 第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

(同時審判の申出がある共同訴訟)
第四十一条 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
3 第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

参加は積極的 49、51前段
引受は引き受けさせる 50①、51後段

参加は結局独立当事者参加47
引受は同時審判41①③

48脱退と49猶予は条文上義務承継51前段と引き受け承継に準用されている

また、47条④では必要的共同訴訟40条①から③までが準用されている

(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

脱退についての素朴な疑問

権利参加の場合は独立当事者参加になるが49、47、独立当事者参加では必要的共同訴訟47で40①~③
さて権利承継参加の場合は条文上48、49を準用とは言っていない。
47を使って参加した者となっているので必然的に48、49も適用になる、という理解でいいのか?
ここらへんスパっとサクッと解説してあるのを探せない。めんどくさい。やはり教授に質問などできる環境がいい(笑)

短答過去問

H25〔第58問〕(配点:2)
訴訟承継に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。(解答
欄は,[№61],[№62]順不同)
1.貸金返還請求訴訟の係属中に,当事者が死亡したときは,その者の相続人は,相続の放棄を
しない限り,当事者となる。
2.貸金返還請求訴訟の係属中に,訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者は,参加承継の
申立てをして訴訟を承継する義務を負う。
3.貸金返還請求訴訟の係属中に,訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者が適法に参加承
継をしたときは,その参加は,訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断の効力を生ずる。
4.貸金返還請求訴訟の係属中に,訴訟物とされている貸金債権を譲り受けた者が適法に参加承
継をしたときは,参加前の原告は,相手方の承諾を得ることなく訴訟から脱退する。
5.貸金返還請求訴訟の係属中に,訴訟物とされている貸金債権に係る債務を第三者が引き受け
たときは,原告は,当該第三者に対して,訴訟引受けの申立てをすることができる。

法務省正解は 2と4

肢2 義務があるとかないとか条文には記載されていない。また、基本書などを通読してもほとんどの本や参考書解説などにはこのような観点からの記載はないのではないだろうか。
短答を苦手する人間はこのあたりで躓く。
短答脳的な解き方というか考え方では参加承継の申し立てをして承継する義務を負う、とすると、そのような規定があってしかるべきだし、ない場合はそういう判例があってしかるべき、ということになる。勉強を確実にしている自信がある人ならそんなの見たことない、で片付けられるが、勉強していない、知識があやふやだとそうもいっていられない。
そうなればロジックで解くしかない。
参加承継する義務がないとすると、どうなるのか。相手は困る。だから引受承継の制度がある。ということで義務はないんじゃないか。

問題は肢4である。脱退についての規定が曖昧でも問題は出題される。判例があるのかないのか知らないが、そもそもすべての下級審判例含め網羅することなど不可能。
結局この肢は保留とせざるを得ず、他の選択肢との比較で判断せざるを得ない。いずれにしろ、脱退するとの規定がないため原則通りとなるのだろう。

H22〔第72問〕(配点:2)
訴訟の承継に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄
は,[№91],[№92]順不同)
1.貸金返還請求訴訟の係属中に,原告が死亡し相続人が訴訟を承継した場合,訴え提起による
時効中断の効力は承継人に及ぶ。
2.貸金返還請求訴訟の係属中に,訴訟の目的である貸金債務について,第三者による免責的債
務引受けが行われたため,原告の申立てに基づき,当該第三者に訴訟を引き受けさせる旨の決
定がされ,原告が当該第三者に対する請求を定立した場合には,その後の訴訟は被告側の必要
的共同訴訟となる。
3.土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求訴訟の係属中に,建物が被告から第三者に譲渡さ
れた場合,裁判所は,原告の申立てがあっても,当該第三者に訴訟を引き受けさせることがで
きない。
4.判例によれば,土地賃貸借契約の終了を理由とする建物収去土地明渡請求訴訟の係属中に,
第三者が被告から建物の一部を賃借し,当該建物の一部及び建物敷地の占有を承継した場合,
裁判所は,原告の申立てがあっても,当該第三者に訴訟を引き受けさせることができない。
5.貸金返還請求訴訟の係属中に,貸金債権が原告から第三者に譲渡された場合,裁判所は,被
告の申立てにより,当該第三者に訴訟を引き受けさせることができる。

正解は1と5
この問題明らかに1と5が〇なので一見簡単そうに見える。
まず、肢2の「被告側の必要的共同訴訟となる」という表現に引っかかる。引き受けさせる場合は同時審判だよな、というのは分かっていても被告側同士の場合は確かに必要的共同訴訟でいいよな、となりそうだが、そもそも免責的債務引受だった。

そして、肢の3と4が厄介である。所有権、賃貸借がらみの明け渡し請求に訴訟承継がさらに加わるともはや迷宮に迷い込む(笑)
そもそも論としてなぜ引き受けさせることができない、という選択肢があるのかというのが良く分からない。
わざわざこのような選択肢があるということは判例なりなんなりがあるのではないかと、勘繰ってしまうのが常連落ちなのである。LECの短答過去問集の解説では肢3については特に言及がなかったので取り越し苦労のようである。
肢4については判例百選にものっている事案のようである(笑)
つまりこちらが本筋なので、引き受けさせることができるという考え方が原則的だとみていいだろう。
昭和41年3月22日
※口頭弁論終結後の承継人と少し視点が違うようなので注意を要する

H21〔第71問〕(配点:2)
訴訟承継に関する次の1から4までの各記述のうち,正しいものはどれか。(解答欄は,[№88])
1.被承継人の相手方は,承継人に対し,承継したものが義務であっても権利であっても訴訟引
受けの申立てをすることができるが,申立ての時期は事実審の口頭弁論終結前に限られる。
2.参加承継の場合,承継人は独立当事者参加の形式で参加の申出をすることから,被承継人と
承継人との間に争いがないときであっても,相手方に加えて被承継人に対しても請求を立てな
ければならない。
3.参加承継後の訴訟の審理は必要的共同訴訟の手続によるのに対し,引受承継後の訴訟の審理
は,通常共同訴訟と同様の手続によるので,前者においては弁論の分離,一部判決が禁止され
るのに対し,後者においてはそれらが許容される。
4.参加承継においては参加があれば被承継人は相手方の承諾を得ずに訴訟から脱退できるが,
引受承継においては引受決定がされても,被承継人が訴訟から脱退するには相手方の承諾が必
要である。

正解は1

予備H29〔第42問〕(配点:2)
BがAから賃借した土地上に建物を建築し所有していたところ,Aは,Bに対し,土地賃貸借契
約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟を提起した。この場合に関する次の1から5までの各
記述のうち,誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は,[№46],[№47]順不同)
1.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を訴訟物たる義務の引受けをした者と解すると,
口頭弁論終結前にBがCに当該建物を貸し渡した事案では,Cに訴訟を引き受けさせることは
できないこととなる。
2.民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を訴訟物たる権利の譲受け又は義務
の引受けをした者と解すると,口頭弁論終結後にBがCに当該建物を貸し渡した事案では,C
に確定判決の効力が及ぶこととなる。
3.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解す
ると,口頭弁論終結前にCがBに無断で空き家だった当該建物に入居した事案では,Cに訴訟
を引き受けさせることができることとなる。
4.民事訴訟法第50条の「義務承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受けた者と解す
ると,口頭弁論終結前にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し,その所有権移転登記を
した事案では,Cに訴訟を引き受けさせることができることとなる。
5.民事訴訟法第115条第1項第3号の「承継人」の範囲を紛争の主体たる地位の移転を受け
た者と解すると,口頭弁論終結後にBがCに当該建物を売却してこれを引き渡し,その所有権
移転登記をした事案では,Cに確定判決の効力が及ぶこととなる。
(参照条文)民事訴訟法
(義務承継人の訴訟引受け)
第50条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したとき
は,裁判所は,当事者の申立てにより,決定で,その第三者に訴訟を引き受けさせることが
できる。
2・3 (略)
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第115条 確定判決は,次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 (略)

賃借人は承継人たりうるのか?

令和2年〔第33問〕(配点:2)
訴訟引受けに関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを
2個選びなさい。(解答欄は,[No.36] ,[No.37]順不同)
1.XのYに対する訴訟の係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承継した場合に
おいて,裁判所がZに訴訟を引き受けさせる決定をしたときは,Zがした訴訟行為は,Yの
利益においてのみその効力を生ずる。
2.XのYに対する訴訟の係属中にZがXから訴訟の目的である権利の全部を譲り受けた場合
において,裁判所は,Yの訴訟の引受けの申立てにより,Zに訴訟を引き受けさせることが
できる。
3.XのYに対する訴訟が上告裁判所に係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承
継した場合において,Xは,上告裁判所に対し,訴訟の引受けの申立てをすることはできな
い。
4.XのYに対する土地の賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求訴訟の係属中にZ
がYからその建物の全部を借り受けてその土地を占有する場合において,裁判所は,Zに対
して所有権に基づき建物退去土地明渡しを求めるとしてされたXの訴訟の引受けの申立てに
より,Zに訴訟を引き受けさせることができる。
5.XのYに対する訴訟の係属中にZがYから訴訟の目的である義務の全部を承継した場合に
おいて,裁判所がZに訴訟を引き受けさせる決定をし,YがXの承諾を得て訴訟から脱退し
たときは,その確定判決の効力は,Yに対しては及ばない。

正解は1と5
基本書やネットで検索しつつ解いて4と5にする。。。(笑)

肢4 
賃借している土地の建物を撤去して土地を明け渡せという訴訟が起こされた。通常こんな家借りる人もいないだろうが借りちゃった場合、その裁判を引き継ぐ必要があるのか?という問題である。
口頭弁論終結後の承継人と混乱してしまいわけわかめ状態になる(笑)
結論から言えば承継人となるようである。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/923/053923_hanrei.pdf
賃貸人が、土地賃貸借契約の終了を理由に、賃借人に対して地上建物の収去、土
地の明渡を求める訴訟が係属中に、土地賃借人からその所有の前記建物の一部を賃
借し、これに基づき、当該建物部分および建物敷地の占有を承継した者は、民訴法
七四条にいう「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタル」者に該当すると解するのが
相当である。けだし、土地賃借人が契約の終了に基づいて土地賃貸人に対して負担
する地上建物の収去義務は、右建物から立ち退く義務を包含するものであり、当該
建物収去義務の存否に関する紛争のうち建物からの退去にかかる部分は、第三者が
土地賃借人から係争建物の一部および建物敷地の占有を承継することによつて
、第
三者の土地賃貸人に対する退去義務の存否に関する紛争という型態をとつて、右両
者間に移行し、第三者は当該紛争の主体たる地位を土地賃借人から承継したものと
解されるからである

民法の判例はこじつけ、屁理屈が多いと感じている人も多いだろう。
今回の理屈は「建物収去義務は立ち退く義務を包含する」というものであり、まあそう言われればそうかもしれない。
もっとも、建物賃借人が仮に建物から出て行ったとしても建物収去義務が果たされるかどうかは別問題である。
とは言え、訴訟の結果は訴訟から脱退した者にも及ぶ50条3項のでそれでいいのかもしれない。

口頭弁論終結後の承継人として考えた場合、もっと筋が通った理屈となる。
「特定の土地明渡請求訴訟において、賃貸借契約の終了を理由とする場合には、その被告適格は当該契約の借主に限られ、目的物の現在の占有者が何人であるかは関係ないから、訴訟中借主たる被告が第三者に占有を移転しても借主は被告適格を失わない反面、
標準時後に占有の移転があれば判決の効力は新占有者に及ばない(口頭弁論終結後の承継人にあたらない)。
これに対し、所有権に基づく返還請求においては、目的物の占有者ないし妨害物権の所有者が被告適格を有するのであるから、被告から妨害物権を譲り受けたものに対しても、判決の効力が及ぶことになる。」口頭弁論終結後の承継人

口頭弁論終結後の承継人の論点は、要するに裁判後の譲受人などに判決の効力が及ぶかという言わば第三者効的な話である。とは言え、よくよく考えると裁判中に譲り受けた者と裁判後に譲り受けた者という違いはあるが判決の効力を及ぼせられるかという観点からみると似たようなものである。
しかし、さらに考えてみると口頭弁論終結後の承継人として建物賃借人が該当したとしてもやはり建物を収去できるわけではないような。。。さらによく見ると、建物収去ではなく土地の返還のようなのでそれはそれでいいのか(笑)

そして気づく。この肢はH22年にも出ていたということを。。。。(笑)

肢1 訴訟は引き継ぐ
肢2 その通り
肢3 口頭弁論終結までという40条2項が準用されているかと思って〇にしたが、50条3項では記載がない。しかし上告審では引受申し立てはできないという判例があるようだ。基本法コンメンタール民事訴訟法1P146
肢4 前述
肢5 51条で48条訴訟脱退が準用されている

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